徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

京都市響のフライデーナイトスペシャルで沖澤のどかの指揮を初体験

そうだ、京響に行こう

 この週末は京阪方面に繰り出すことにした。最初の目的地は京都。京都コンサートホールで開催される京都市響のコンサートである。京都市響は長年常任指揮者を務めた広上淳一が退任する当たり、後任には広上推薦の沖澤のどかが就任したのだが、私は今までスケジュールの関係で彼女の演奏を聞いたことがなかった。その彼女がこの4月の定期演奏会で指揮をするとのことなので、これは一度聞いておきたいと思った次第。しかし定期公演本番の明日は4オケとスケジュールが衝突してしまっていることから不可。そこで今晩のフライデーナイトを聴きに行こうと考えた次第。

 フライデーナイトは昨年から京都市響が行った試みだが、1時間のショートコンサートを安めの価格で金曜日の夜に行おうという試み。昨年は土曜の定期に対し、日曜定期が半分、フライデーナイトが半分というような分配だったのだが、今年度からは日曜定期が完全に廃止されてフライデーナイトオンリーになってしまった次第。

 京都まではとにかく遠いので、いくら開演が19時半とやや遅めといっても仕事が終わってから駆けつけていたのでは到底間に合わない。この日の仕事は午前中で終えて、昼から京都に向かって走ることにする。

途中の新名神宝塚SAはなぜかエヴァコラボ中

牛乳ソフトを摂って一息つく

 途中で休憩も取りながら長駆ドライブすること2時間程度だが、思いの他の疲労がやって来るところに老いを感じずにはいられない。昔はヘロヘロになりながらも半日運転し通しなんて無茶もしたものだ。今の私には昔のように関西から新潟まで一気に走り通すなどという体力も精神力も到底なくなっている。

 京都に到着するとまずは立ち寄り先に。最近結構頻繁に行っている美術館であり、青銅器のコレクションで有名。今日はここにち立ち寄る予定があったから早めに出たのである。

 

 

「光陰礼賛ー近代日本最初の洋画コレクション」泉屋博古館で5/21まで

 住友家の当主・住友吉左衞門友純(春翠)が集めたという洋画コレクションを紹介する。なお購入作品の選定には春翠の支援でヨーロッパに留学していた画家の鹿子木孟郎が関与しているという。大原コレクションにおける児島虎次郎と同じ役割を果たしたようである。

 目玉はモネの2点であるが、1点はまだ印象派としての画風を確立する前で、後の画風を思わせるところはあるが、まだバルビゾン派的作品である。これに対してもう1点は印象派を立ち上げて2年後の作品。両作品を比べると明らかに色彩の鮮やかさが異なっており、モネが印象派に至った境地が理解できることになる。

 コレクションは印象派作品もアカデミズム作品も両方含んでおり、どうやら収集に当たって区別はしなかったようだ。またアカデミズム作品に所属する作品でも、明らかに色彩表現に印象派の影響がみられるような作品もあり、本来この区別はさして厳密なものではないことも感じさせられる。

 後半は日本人洋画家の作品で、多くは黒田清輝に学んで官展で活躍した画家たちである。あまり尖っていない写実系の画家中心であり、概ね好ましい印象を受ける作品が多い。なお私の好きな岡田三郎助の作品も一点(「五葉蔦」)あり、かなり楽しめた。

 

 

早めの夕食を東洋亭で

 美術館の見学を終えるとまだ早めであるがホールの方に向かうことにする。Akippaで確保しておいた駐車場に車を入れると、まずは早めの夕食を摂っておくことにする。まだ「東洋亭」のランチタイムがギリギリで間に合うので駆け込むことにする。

久しぶりの東洋亭

 注文したのはハンバーグのAランチ。ビフカツとかが食いたい気持ちもあったのだが、ハンバーグを選んだ理由は端的に言って金欠。諸般の事情で現在の私は著しい金欠状態にあり、贅沢している余裕は皆無である。と言うわけで定番のエコノミーメニューを選んだ次第。

 まずは東洋亭名物謎のトマトサラダから。サラダという名の丸ごとトマトなんだが、なぜかこれが不思議と美味いんだよな。毎回これが最大の謎。ちなみに今日は熊本の八代産のトマトだそうな。

相変わらず美味い謎トマト

 ホイルを切り開いて出てくるハンバーグは久しぶりである。グツグツといっていて美味そう。もっとも私は猫舌なので少し冷まさないと食えないが。相変わらずのかなり肉肉しいハンバーグである。なかなか美味い。実はここのところ洋食から少々遠ざかっていたのだが、やはりたまには洋食も良いなと感じる。ちなみに付け合わせの北海道のジャガイモもほっこりして美味。

ホイル入りのハンバーグが登場

アルミホイルを開くと熱々のハンバーグ登場

食後のアイスティー

 早めの夕食を堪能したが、まだ開演までには随分時間がある。かといってどこかに立ち寄る宛てもなし。仕方ないのでさっさとホールに入ってしまってグダグダと時間をつぶすことに。やはりこのホールは周辺に時間つぶしに良い場所がないのが一番の難点。しかも今のように重度の金欠だと、なおのこと時間のつぶしようがない。

 ホール下のスペースで椅子に座ってこの原稿打ったりスマホをチェックしたりしている内に開場時刻となる。7割程度の観客が入っており、なかなかの入りである。

ホールへ

 

 

京都市交響楽団フライデーナイトスペシャル

3階の正面席が確保できた

指揮:沖澤のどか

モーツァル 歌劇「魔笛」序曲
メンデルスゾーン 序曲「ルイ・ブラス」
メンデルスゾーン 交響曲第4番「イタリア」

 最初は「魔笛」の序曲。沖澤はプレトークでオペラを振りたかったからドイツに行ったという類のことを言っていたが、確かに実にオペラらしい序曲になっている。流麗でなめらかというのが一番の印象であるが、オペラの情景を描き出そうとしている姿勢が見える。

 二曲目はメンデルスゾーンの「ルイ・ブラス」序曲もかなりドラマチックな表現である。全体的に鳴らし方にやや上品なところが見られるが、感傷的な劇的表現も十分に含まれてはいる。

 最後はメンデルスゾーンの超有名な爽快な交響曲。それをまさに爽快そのものな演奏を行った。オケはなかなかに色彩的でシャープな印象。ただし下品な極彩色になることはなく、上品でスマートな演奏である。

 沖澤の指揮は初めて聞いだが、今回を聞いた限りでは当たりが柔らかくて上品でスマートという印象を受けた。フランス系の洒落た曲なんかが良く似合いそうであるが、むしろ私が興味があるのは、同じフランスでも幻想交響曲のような情念渦巻くおどろおどろしい曲をどういう演奏をするかというところ。今後、彼女の表現の幅についても知りたいところである。

 

 

大津の温泉ホテルで宿泊する

 コンサートを終えると今日の宿泊ホテルへ移動である。大阪に戻る手もあったのだが、コンサート終了後に大阪まで長駆移動もしんどいと思い、京都方面で宿泊することにしている。とは言うものの、京都市内のホテルは相場が高すぎて無理。というわけで少し足を延ばして大津で宿泊することにした。宿泊するのは「おふろcafé ニューびわこホテル」。大津の宿泊もできるスーパー銭湯である。また大衆演劇を見ることができるというのも特徴の一つとなっている(私は興味皆無だが)。最近リニューアルしたとのことで、私はリニューアル以前には数回宿泊したことがあるが、リニューアル後は初めてになる。

風呂なし、トイレなしのシンプルビジネスルーム

 チェックインを済ませて部屋に荷物を置くと、取るものとりあえず風呂へ。リニューアルされて1階は何やら綺麗な休憩所になっているうえに、かつては3階にあった男子更衣室が2階に変わっている。間取りが少し変更になった模様。入浴して汗を流したいところだが、その前に食事処がラストーオーダーになる前に軽く夜食を摂ることにする。

 まずはドリンクとして冷やし飴を頂く。やっぱりへばった時のドリンクとしてはこれが一番である。

冷やし飴でくつろぐ

 で、夜食は醤油ラーメン。まあ最初から期待はしてないのでこんなものというところか。内容的にはドーミー夜鳴きそばの量を増やして具を入れたという雰囲気。こういうものを食べると、つくづくドーミー夜鳴きそばはよくできたサービスだと再認識。しかし貧困化が進む現状、インバウンド目当てで高級化が進むドーミーに今後と宿泊出来ることがあるのだろうか・・・。

夜食ラーメン

 夜食を終えると入浴。どうやら以前には3階の更衣室から降りていく螺旋階段があった場所に更衣室を移した模様。まあ空間としては完全に無駄な空間になっていたから、効率的レイアウトというところか。風呂自体は以前と変わっておらず、ラドン泉の湯も以前と変わらない。ややネッチョリと体にまとわりつく湯の中でゆったりとくつろいで、今日の疲れをいやす。ここのところ精神的にかなり限界に近い日常を送っているので、こういう癒しは大事である。

 入浴してくつろぐと、部屋に戻ってPCのセッティングなどをするが、それだけで力尽きて原稿が頭に浮かぶ状態じゃない。仕方ないのでタブレットを自宅のレコーダーにリモート接続してみると、Wi-Fiの速度が速いのが幸いして問題なくつながるので、録画していた昨晩のアニメを数本見ている内に眠気が押し寄せてくるので、さっさと就寝する。

 

 

この遠征の翌日の記事

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