朝食は近くの初めての喫茶店で
翌朝は目覚ましをセットした8時まで爆睡していた。目を覚ますとすぐに朝食に出かける。立ち寄ったのは近くにある喫茶の「珈琲 京」。
店内は落ち着いた雰囲気。難点は喫煙可であること。私の入店時は奥で一人の高齢客が煙草をふかしていただけなので少し臭う程度だったが、状況によっては煙が立ち込めている場合なども覚悟が必要かも。私が注文したのは「ミックスサンドにアイスコーヒー(950円)」。
事前に「キュウリとトマトは大丈夫ですか?」と聞かれた(私は本来はどちらも嫌いだが、サンドイッチの時は食べる)が、サンドイッチはしっかりと調理されたものでなかなか美味い。コーヒーの方は今回はアイスを頼んだのであまり良く分からず。ただ特に嫌味を感じる味ではなかった。こりゃ今後、下手にコンビニで朝食を買っておくよりも間違いなくこちらの方が良いな。
バイエルン放送響のチケット争奪戦にあえなく敗北する
ホテルに戻ってくるとチェックアウトの11時までは原稿作成やシャワーなどでマッタリと過ごす。実はこのホテルを今回選んだのはチェックアウト時刻が11時ということが理由の一つにある。基本的に今日の予定は15時からの大阪フィルのコンサートがメインなので、朝はゆったりと過ごしたいという考え。大抵のホテルはチェックアウト10時(有料で延長できるところはあるが)なので、11時チェックアウトのここを選んだ次第。
昨日の原稿をアップしてからシャワーで体を温めると部屋に戻って原稿執筆。しかしこの時点で重要なことを忘れていたことに気付く。今日は10時からバイエルン放送交響楽団の来日公演の先行発売日だった。既に数分過ぎてしまっている。慌ててサイトに接続するが、この数分が運命を分けてしまった。既に2万円以下の安い席は完売状態。完全に出遅れである。現在の私には2万円以上の支払いをできる経済力はないことから、これは諦めるしか仕方ない。本来は20分前ぐらいからスタンバイして待機しておくぐらいの必要があったのである。実に迂闊であるが致命的なミスであった。それにしても昔ならC席ぐらいでも1万円台の座席が普通にあったものだが・・・。つくづくアベノミクスなる経済政策とさえ呼べない愚策の悪影響の大きさに腹が立つ。私も政府の御用評論家にでもなって、政府擁護の提灯記事を書きまくって官房機密費から世論工作費用を受け取れる身分を目指しでもしないと、経済的環境の好転は不可能だろうか? もっともそこまで浅ましい人間に落ちたくはないが。
しかたないので気分を切り替えて再び原稿執筆。11時が近づいたところで荷物をまとめてさっさとチェックアウトする。
さて今日の予定だが、先に言ったように大阪フィルの定期演奏会がメイン。しかしその前にハルカス美術館で開催されている徳川の秘宝展に立ち寄る予定。JRでまずは天王寺へ移動する。
「徳川美術館展 尾張徳川家の至宝」あべのハルカス美術館で6/23まで
家康の九男・義直が創設した尾張徳川家に伝わる秘宝を展示とのこと。徳川美術館の収蔵品の展示となる。展示物は甲冑に始まり、刀剣、茶道具、着物類、香道具、書画など実に多彩。
義直が参勤交代の際に常に持参していたという甲冑は実に工芸品として優れた物であり、これ以外にも当時の最高レベルと言える工芸品の数々が展示されている。工芸品の類いはあまり分からない私であるが、その細工の細かさだけでかなりのレベルのものであることぐらいは理解出来る。
私が比較的理解しやすいのは茶道具など。茶入れなどは私も好ましく感じる逸品が展示されていたし、茶碗についても油滴天目から織部まで実に多彩な一級品が揃っているのは、さすがに尾張徳川家である。
最後のコーナーには家光の長女の千代姫が尾張家に嫁入りする際に持参した花嫁道具の櫛箱と現存最古の源氏物語絵巻といった国宝が特別展示。櫛箱については最高峰の細工が施されていることは容易に推察付いたが、絵巻の方の貴重さは残念ながらザッと見ただけでは私に良く分からず。もっともその古さの割には色が鮮やかであることは印象に残ったところである。
正直なところ展示品は結構地味であるので、その辺りをどう考えるかである。
昼食は魚料理
展覧会の見学を終えると既に昼時である。天王寺で昼食を済ませていくことにする。とりあえずMIOの4階のレストラン街をウロウロ、グリルマルヨシも考えたが気分はやはり和食か。「土佐わら焼き龍神丸」に入店することにする。
その名の通りにカツオのたたきなどがメインの店のようだ。私は「鰹の漁師漬けと肉厚鰺フライ定食(1590円+税)」を注文する。
ご飯をこれから炊くとのことで10分ほど待たされる。どうやらかまどご飯の炊きたてを頂くいう趣向のようだ。今日は全く急いでいないのでちょうど良い。10分ほど待つと料理が到着するので、ご飯は一旦かきまぜてから蒸らし2分とのこと。
さすがに一番の売りだけに鰹のたたきはえぐみもなく非常に美味い。また驚いたのは鰺フライ。ふっくらとして肉厚で、これもまた臭みがない。都会のそこらの適当な店で食べる鰺フライとは一線を画している感がある。魚の仕入れルートがどうなっているのかは知らないが、どうやらキチンとした材料を使用しているようである。そしてやはりあえて客を待たせただけの炊きたてご飯も美味いのでこれらの料理が無駄にならない。なかなかに良く練ったメニューである。場所柄どうしてもCPを言い出すとツラいものもあるが、まあ大阪の真ん中にしては満足できる魚料理を食べたという感想である。
昼食を終えると地下鉄で肥後橋まで移動する。駅に到着した時にはまだ開場時刻まで余裕があるので、とりあえずフェスティバルゲート地下の「PRONT」でお茶をして開場まで時間をつぶすことにする。ただしこれは実は失敗。ケーキセットのケーキが予想していたよりもはるかに甘すぎた。血糖値急上昇でいささか頭痛がする。
開場時刻まで時間をつぶしてからホールに向かうことにする。ホールはゾロゾロと入場中。ホール内で開演まで待つことにする。ホールは8割方は埋まっているか。まずまずの入りである。
大阪フィルハーモニー交響楽団 第578回定期演奏会
指揮/尾高忠明
ピアノ/アンヌ・ケフェレック
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
シベリウス:組曲「レンミンカイネン」 作品22
最初はモーツァルトの有名な短調のピアノ協奏曲。モーツァルトの短調はほぼ名曲と言われているが、この曲もご多分に漏れない名曲である。
さてケフェレックのピアノであるが、実に流麗な演奏という印象である。ただ若干気になるのは流麗故にやや早弾き気味になりかける傾向が見られること。放っておくと徐々にテンポが上がってくる様子がある。さらに時折テンポの揺れも見られることから、バックのオケの対応に若干の戸惑いが見られる部分が感じられた。ところどころ、ピアノのソロとバックのオケに微妙なズレが感じられる場面が散見された。
どちらかと言えばソリストが自由に演奏出来るアンコールピースの方が彼女らしさが出ていたような気がするところ。
後半はシベリウスのあまりメジャーでない曲だが、初っ端から大フィルがなかなかに幽玄な音色を出してきて良い雰囲気である。第二曲の「トゥオネラの白鳥」は交響曲だと緩徐楽章に当たるような部分であるが、これがなかなかに美しい。そして第三曲、第四曲と段々に盛上がって終了という構成になっている。この曲はシベリウスが交響曲第一番を書く前に交響曲のテストのような感覚で作曲したという話もあるそうだが、まあそう思えなくもない。四曲こうやって並べて聞くと、確かに交響曲第一番のクライマックスに向かって段々と盛上がっていく感覚に近いものもある。
尾高のシベリウスは初めて聴くような気がするのだが、どうしてどうしてなかなかに雄大でキレもある見事な演奏という印象。大フィルも私の予想よりも遥かに北欧的な音色を出していて、その辺りには違和感はなかった。大フィルもかなり適応力が高くなったんだなと感心することしきり。
演奏終了後は場内はかなり盛上がったが、まあそれは私も納得。なかなかに良い演奏で良い曲を聴けたというところである。
これでこの終末の予定は終了。JRで帰宅することにする。
本遠征の前日の記事