久しぶりに三ノ宮に繰り出す
この週末はMETライブビューイングのために三ノ宮に繰り出すことにした。演目はプッチーニの「つばめ」である。
上映が13時50分からとかなり遅いので、家を出るのは昼近くになってから。JRで三ノ宮まで移動するとキノシネマ神戸国際に入る前に昼食を摂ることにする。レストランを探してプラプラするが、さんちかにはこれという店はなし。そこでセンター街地下に場所を移して散策。裏手に見つけた中華料理や「雲井亭」に入店することにする。
注文したのは「Aセット(850円)」。酢豚を中心としたオーソドックなセット。味付けは典型的な町中華のものというところか。やや酸味が私には強いように感じるが、まあ許容範囲内。これと言って美味しくも感じないが不味くはないと言うところで、価格から考えても典型的な普段使いの店か。三ノ宮には珍しくはある。
昼食を終えると劇場の方に出向く。しばらくして劇場から大勢が出てくるが、先に上映されていた「おいしい給食」が終了した模様。客はザッと見て40人ぐらいはいるだろうか。なかなか好評の模様。立てポップで嬉しそうに記念写真を撮って帰るカップルも。
10分ぐらいで入れ替わりで入場。場内には意外に入場者がいて、20名ぐらいはやって来ているだろうか。今までのここの入りから見て結構多い方だ。
METライブビューイング プッチーニ「つばめ」
指揮:スぺランツァ・スカップッチ
演出:ニコラ・ジョエル
出演:エンジェル・ブルー、ジョナサン・テテルマン、エミリー・ポゴレルツ、ベクゾッド・ダブロノフ
プッチーニの比較的晩年に作曲された作品で、「トスカ」や「蝶々夫人」などよりは後年の作になるが、その割にはあまり上演されることがない作品である。当初はオペレッタとして企画されたらしいのだが、途中でプッチーニがそれを断念して書き直したものだという。
当初はオペレッタだったということもあってか、他のプッチーニの有名な悲劇作品のような大悲劇にはならない。結局は人死にも出ず、最後は高級娼婦という過去の罪の意識から、ヒロインのマグダが求婚してきたルッジェーロに別れを告げるというほろ苦いだけの話であり、そう言う意味では「トスカ」などの劇的な展開がないので見せ場が少ない感もある。
その分、音楽の方は激しく盛り上げるというものではなく、マグダとルッジェーロの絡みを中心とした二重唱、四重唱などで軽快かつ美しく進めていくという印象。無理矢理な盛り上げを省いたら、プッチーニの旋律の美しさが残ったというところである。
ヒロインは迫力満点のエンジェル・ブルー。可憐で地味な少女というにはいささか存在感がありすぎるが、歌唱に関しては非の打ち所はない。一方ルッジェーロのテテルマンは上演前にMET支配人が登場して、テテルマンがアレルギーシーズン特有の不調と戦っていることを断りを入れていたが、そんな注釈をわざわざ付けないといけないほどの不安定さは感じなかった。もっとも本調子ではないと言うことで、もし本調子ならもっと煌めくようなテノールを披露してくれるのかもしれないが。
この2人を中心としてリゼットのポゴレルツとプルニエのダブロノフがコメディリリーフとして活躍しているという印象。
プッチーニのこじんまりとした作品を、音楽の美しさをメインにまとまりの良い作品として仕上げたという印象であった。まあ大悲劇に胃もたれした向きには良いか。