徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

フィンランドデザイン展と宮城県美術館展を鑑賞してから、西宮で宝塚市交響楽団のコンサート

西宮にアマオケのコンサートに繰り出す

 今日はアマオケの宝塚市交響楽団のコンサートのために西宮に出ることにする。開演は14時からだが、その前に少し立ち寄りたいところがある。アクセスの関係と体調の関係(どうも先日来から腰の状態が不穏)から今回は久しぶりに車を使用することにする。

 午前中に家を出ると、選挙の投票を済ませてから阪神高速に乗って一気に摩耶まで。阪神高速には全く渋滞はなかったのだが、摩耶から下道に降りてからが大渋滞。何があったのかと思えば工事で交互通行になっていた。しかしどう見ても誘導が悪すぎて無駄に渋滞を作っていた印象。

 結局はここで想定外の時間を浪費して、当初の予定をやや過ぎた時間に六甲アイランドに到着。今日の目的はこの地域での美術館の見学。

六甲アイランドのファッション美術館に到着

 

 

「暮らしを豊かにするデザイン フィンランドのライフスタイル」神戸ファッション美術館で11/10まで

ファッション美術館は久しぶり

 洒落たデザイン大国として知られているフィンランドの有名デザイナー達による家具、陶器、ガラス製品の類いを展示した展覧会。

 最初に登場するのは有名なアルヴァ・アアルト及び妻のアイノ。「北欧モダンデザインの父」と呼ばれる彼の作品は自然の曲線を利用した花瓶「サヴォイ」ベースに始まり、木材を自在に折り曲げた美しくもありながら機能的な家具のシリーズなどが象徴的である。

「サヴォイ」ベースの花瓶

木を曲げて作ったスツール

パイミオ チェア

 

 

 「フィンランドデザインの良心」と称されるカイ・フランクの作品は、デザインの奇抜さに走ることがなく、美しいデザインでありながらも機能的であることを特徴とする。デザインの奇抜さばかりに走って実用性を放り出す日本の某建築の大家などに、爪の垢でも煎じて飲ませたいところである。

カイ・フランクの機能的な食器群

 また「フィンランドのレオナルド・ダ・ヴィンチ」ことタビオ・ヴィルカラは自然との調和を謳ったという。

タビオ・ヴィルカラの「ウルティマ ツーレ」シリーズ

自然と溶け込んだテーブル

 さらに華やかで装飾的な陶器を作成したビルゲル・カイピアイネン。

カイピアイネンのオブジェ「パンジーの木」

同じくウォールプレート

 

 

 マリメッコでテキスタイルデザイナーとして活躍した石本藤雄は、陶芸家としても冬瓜をモチーフとした作品を制作している。

石本藤雄のテキスタイル

冬瓜をモチーフにした陶芸オブジェ

 さらには吹きガラスで自由な作品を制作したオイバ・トイッカなど。

オイバ・トイッカのキューブシリーズ

バードのシリーズ

ロリポップ

奇天烈なポムポムベース

 なかなか多彩にして楽しい作品群を堪能出来た。これは想定外に面白かった。次は隣の美術館を覗く。

すぐ隣に別の美術館が

 

 

「響きあう絵画 宮城県美術館コレクション」神戸ゆかりの美術館で'25/1/26まで

 宮城県美術館が改装工事に入るとのことで、そのコレクションの引っ越し展示である。
 展示作はまず時代を追っての日本洋画作品となる。最初は明治を代表する画家として高橋由一や渡邊亮輔、中村彝など。

高橋由一「宮城県庁門前図」

渡辺亮輔「樹蔭」

中村彝「帽子を被る自画像」

 大正になると萬鉄五郎、満谷国四郎、梅原龍三郎、さらには前田寬治と言った辺りが登場。

萬鉄五郎「郊外風景」

満谷国四郎「裸婦」

梅原龍三郎「坐裸婦」

前田寬治「風景」

 

 

 そして昭和になると川口軌外、三岸好太郎、吉原治良、猪熊弦一郎などといういかにも現代絵画に近い辺りにたどり着く。

川口軌外「静物」

三岸好太郎「オーケストラ」

吉原治良「風景」

猪熊弦一郎「葉を持つ女」

 そんな中でもあくまで具象でありながら印象深い安井曾太郎、松本俊介なども登場。

安井曽太郎「少女像」

松本俊介「画家の像」

 

 

 日本洋画を概観した後は、コレクターであった洲之内徹のコレクションが展示される。海老原喜之助や靉光、長谷川りん二郎などの特徴的な作品が含まれる。

海老原喜之助「ポアソニエール」

靉光「島」

長谷川りん二郎「猫」

 さらにはカンディンスキー、クレーなどとドイツの20世紀美術のコーナー。

カンディンスキー「活気のある安定」

パウル・クレー「力学値のつりあい」

 

 

 最後は日本の現代アートだが、この辺りになると私には意味不明。有名な吉原治良の白鶴丸なんてのもある。

桂ゆき「婦人の日」

難波田龍起「黒と赤」

瑛九「影」

尾藤豊「失われた土地A」

吉原治良「丸」

宮城輝夫「月の番人」

 物量的にも結構あり、なかなかに面白い作品も多く印象深い展覧会だった。ただそのせいで予定よりも時間がかかりお昼を回ってしまった。とりあえず兵庫芸文に慌てて移動して車を地下駐車場に入れる。

 

 

 開演まで1時間ちょっとしかない。慌てて昼食を摂る店を物色するために西宮ガーデンズに行くが、どこも大行列で2時間ぐらいはかけるつもりでないと昼食にありつけそうにない。仕方ないので駅の反対側に移動して、ケンタを覗くが席は満席。そこで少し北上して今度はモスを覗いたがこちらも満席。諦めて戻ってきたところでケンタの席が空いていたから、結局はここでアホノミクスサイズのチキンバーガーを昼食にすることに。

お粗末な昼食

 とりあえずのどうしようもない昼食を済ませるとホールに戻ってくる。ホールはゾロゾロと観客が入場中。入場料金1000円と安いためか結構来ているようである。

観客は結構来ている

 今回のプログラムはベートーベンとドボルザークの交響曲第8番という変わった組み合わせ。果たしてどのような演奏を聞かせてくれるか。

本日の演目

 

 

宝塚市交響楽団 第74回定期演奏会

14型の編成の模様

指揮:粟辻 聡
演奏:宝塚市交響楽団

ベルリオーズ:序曲「海賊」op.21
ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 op.93
ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 op.88

 一曲目はベルリオーズのかなり珍しい曲。弦楽で刻むような非常に早いメロディが印象的なかなり奇妙な曲。

 指揮の粟辻は今年の1月に奈良フィルでその演奏を聞いたことがあるが、その時にはニューイヤーコンサートをかなりノリノリで振っていた。何となくクネクネとした大きな指揮ぶりに特徴がある指揮者である。今回も一曲目はそのままノリで押し通した印象。宝塚市交響楽団も、アマオケながらあの素早い旋律で弦楽陣が崩壊しなかったのは立派。また管楽器群も他のアマオケなどに比べると安定感がある。

 二曲目はベートーベン。第二楽章が当時に発明されたメトロノームに触発されて、リズムを刻んでいく独得の曲想になっていることが有名な曲である。

 先ほどのノリで突っ走った指揮に比べると、本曲はノンビブでかなり落ち着いた演奏となっている。ただその分、いささか地味な演奏に終始した感もないではない。元々の曲自体もベートーベンの交響曲の中では地味曲に分類される曲だけに、表現にもうひと工夫欲しかった気はする。

 ラストがメインのドボ8。さて宝塚交響楽団の演奏であるが、冒頭から田園の空気を漂わせたなかなかのものである。粟辻も先ほどの地味演奏とは一転して、ややアップテンポ気味のノリの良さで、この舞踏のリズムを各所に含んだ交響曲をガンガン進めていく。

 オケの方であるが、弦楽のアンサンブルはアマオケにしては安定感抜群。管楽器群は時たまホルンとかがしでかしたりなんてこともあるが、アマオケの中ではかなりレベルの高さを感じさせる。

 演奏自体もドボルザークのスラブ情緒を十二分に感じさせるまずまずの演奏。なおアンコールとしてお約束のスラブ舞曲の2番が演奏されたのであるが、ここでも弦楽を中心とするアンサンブル力の高さが示された。


 宝塚市交響楽団についてはこれで3回目になるのだが、初めてその演奏を聞いた時から、アマオケにしてはレベルが高く、特に弦楽陣のアンサンブル能力の高さに舌を巻いている。今回もその実力が遺憾なく発揮された。


 これで今日の予定は終了。帰宅を急ぐことにする。

ちなみに来月のPACはこれ。かなり楽しみ。