徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

大阪フィル姫路公演でロマンティックな「白鳥の湖」を堪能

大フィルの地方公演へ

 先週からプライベートな事情で怒濤のトラブルに振り回されて心身共に疲労の極地である。その一件もとりあえずようやく一段落。また次の段階が週明けから始まるのであるが、その前に英気を養うべくコンサートに出かけることにする。

 出かける先は姫路。アクリエひめじで大阪フィルの地方公演が開催されるとのことである。とりあえず日曜の午前中に家を出ると、車で姫路まで。開演は15時からなのでそれまでにまずは昼食を摂ることにする。立ち寄ったのは姫路の「魚河岸むぅ」。車を停めようとしたら「本日はご予約のお客様のみ」との貼り紙が出ていたので引き返そうとしたら、店員が出てきて入店OKとのことなので入店する。ランチメニューが4品ほどあるが、その中の「栞」膳を選択する。

姫路の「魚河岸むぅ」

 いわゆる和食膳であるが、刺身が美味いし天麩羅も美味く、一品一品が非常に美味い。なお私の訪問時は価格は1800円台だったのだが、後で調べたらほんの4年ほど前なら1300円台で提供していたらしい。自民党の悪政による物価高騰の煽りをもろに食らっているようである。日に日に生活が苦しくなるのを感じているが、こういうところに露骨に現れている。その挙げ句にNISAで提供させた国民のなけなしの資産は、狂人トランプの凶行のせいで巻き上げられるということに。完全に庶民を殺しにかかっている。

ランチメニューの「栞」膳

 昼食を終えたがまだ開演までに時間がある。美術館に立ち寄ることにするが、姫路市立美術館はちょうど展示替えの時期(その上に次の企画が「高田賢三展」なので元より行く気もないが)。そこで三木美術館に立ち寄ることにする。この美術館は立体駐車場が完備しているのだが、駐車場の扉が損傷して使用不能とのことでここのところ数回立ち寄りをパスしたことがある。今回もまだ修理が出来てなかったら素通りするつもりだったが、ようやく駐車場が使えるようになった模様なので立ち寄ることにする。

 

 

「2025年 春企画展 絵画展:建物を描くのって難しくないですか? 陶磁器展:それも唐津?これも唐津?」三木美術館で5/24まで

 所蔵の絵画と陶器を展示。絵画に関しては建物ということをテーマにしていることで、荻須高徳や佐伯祐三などの作品が登場だが、荻須については印象がイマイチ強くなく、佐伯については自身の画を模索していた帰国時の作品であるので、パリの街角の絵ほどのインパクトがない。

佐伯祐三「下落合風景」

 3階展示室には安井曾太郎の作品もあったのだが、残念ながらこの画家については私はあまり興味がない。

安井曾太郎「巴里の景色」

 と言うわけで実は一番面白かったのは那波多目功一の「白耀」といかにもらしい東郷青児の「花を摘む女達」という共に大作である。

 陶器については様々な唐津焼が展示されていたが、私好みの黒茶碗などもあったが、残念ながらこれはやや平凡。一般的な唐津焼のイメージとは若干異なる中里太郎右衛門による深い青みのある一連の壺が独得の光沢で魅力的で印象に残った。

 

 気がついたら開場時刻になっていたので、美術館の見学を足早に終えるとホールへと急ぐ。もう既にホールの駐車場は大混雑になっており、会場へは続々と入場中。私の座席は二階席である。

大ホールには続々と入場中

 

 

大阪フィルハーモニー交響楽団 姫路特別演奏会

最初は12型編成

指揮:尾高忠明
ヴァイオリン:三浦文彰

モーツアルト/歌劇「魔笛」より序曲
モーツアルト/ヴァイオリン協奏曲第3番
チャイコフスキー/バレエ「白鳥の湖」セレクション

 

 前半はモーツァルトで後半はチャイコというプログラム。

 「魔笛」については、例によってややゴチャゴチャした曲であるが、大フィルのアンサンブルは実に無難にまとまっていて破綻がない。尾高の指揮もそつなくまとめた印象。

 オケを10型に縮小してのヴァイオリン協奏曲は、ソリストとして三浦を迎えての演奏。三浦の演奏は以前からやや硬質に過ぎる感が強かったのであるが、その後の三浦は円熟味を増したのか、以前のキンキンした硬質さはやや影を潜め、随所にはしっとりと歌うことの出来る演奏となっていた。惜しむらくはもう少し甘さとか艶が欲しい感かはなくはなかったが、曲がモーツァルトだけにあまり濃厚な味付けは悪趣味か。これという難点のない無難な演奏にまとまっていたと感じられる。

 20分の休憩の後の後半はチャイコの「白鳥の湖」。流石にチャイコらしいドラマチックな音楽が盛り上げるが、14型に拡大した大フィルのしっとりとした弦楽陣の安定感と、これも同じく安定感と情緒満開の管楽陣の熱演が曲を盛り上げる。特にオーボエとトランペットのソロは印象的。

 バレエ音楽と言うことで非常にドラマチックな構成を取るのがこの曲の特徴。尾高・大フィルはその特性を利用してまさに壮大な大河ドラマとしてこの曲を表現しきったというところである。相変わらずのツボを押さえての尾高の指揮は適切なものであり、大フィルのパフォーマンスも見事であった。

 まさに大河ドラマの白鳥の湖に場内は大盛り上がり。それを受けてのアンコールはそのまんま大河ドラマ「青天を衝け」のテーマ。観客満足の内に公演を終えたのである。


 公演終了後は例によって大混雑の駐車場から逃げ出すという難度の高いミッション(つくづくこのホールの駐車場の構造はなってないと思う)。結局はこのミッションには30分以上を要することになったのである。