最終日は体調不良で昼前まで寝っぱなし
その夜は体がかっかとして、軽く冷房をかけてもやや寝苦しかった。そのまま朝の7時半に目覚ましが。しかし目は覚めても体が動かない。思いの外ダメージがありすぎる。今日は14時から都響のコンサートだが、その前に美術館を2館ほど回るつもりだった。しかし今の状況ではそんなことは不可能なのは明確。部屋の表に「チェックアウト時刻延長」の札を出すとそのまま寝込んでしまう。
起きたり眠ったりで再び意識を取り戻したのは11時過ぎ。チェックアウトは13時まで延長しているが、流石にそこまで粘ったらコンサートに間に合わない。何とか起きだすとっちらかっていたPC類を収納してチェックアウト準備。12時前にチェックアウトする。何とか動きは出来るが体がべらぼうに重い。
そのまま地下鉄で肥後橋へ。ホールに入る前に昼食を摂る必要があるので、地下の「キッチンジロー」に立ち寄って、ハンバーグとホタテコロッケのセットを注文。

このセットもかつては1000円だったのだが、昨今の悪政による食品価格高騰で1300円に値上がりしている。それはともかくとして、何か以前に来た時よりも味が落ちた気がする。まあ味に関しては最悪の状態の体調が影響している可能性も否定できないが、ハンバーグの裏が焦げてバリバリになっているのはいかんだろう。混雑する昼時のせいでやっつけ仕事になっているのでという気がする。

昼食を終えるとホールへ。ホールはかなり混雑している。やはり都響の人気は高いか。高校生の団体らしき連中もやって来ている。

東京都交響楽団 創立60周年記念 大阪特別公演

指揮/大野和士
ヴァイオリン/アリョーナ・バーエワ
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調op.77
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調op.64
一曲目は最近演奏機会が増えてきているショスタコのヴァイオリン協奏曲。かなりの難曲だと思われるが、バーエワはそれを易々と弾きこなす抜群のテクニックの持ち主である。またこの手の奏者は往々にして自身のテクニックに溺れて、それを披露することが第一なって音楽性がおろそかになることが多いのだが、彼女の場合はそんなことは全くない。十二分にしっかりと情緒の籠もった音色であり、むしろそもそも機械的な部分が少なくないこの曲自体に感情部分を補っている印象。十二分に心を動かされる演奏であった。
またバックの都響も流石というか技倆的には圧倒的である。アンサンブルは整然と整っているし、音色にキレと張りがある。バーエワの熱演を裏からしっかりとサポートして、感動的な音楽に仕立て上げていた。
休憩を挟んでの後半はこれは元々有名なチャイコの交響曲。この有名曲に対して大野のアプローチは基本的にはオーソドックであるものの、実のところは極めて小技が多い。細かい揺らしや溜が随所に散りばめられている。しかしその指揮者の意図に応えて全くアンサンブルを揺るがすことなく追随していく都響は流石の一言。
激しい中に哀愁を込めた第一楽章、有名なホルンソロの音色が美しい第二楽章、優雅で軽快な第三楽章を経て音楽はクライマックスの最終楽章。段々と盛上がって高らかと掲げられる勝利の宣言はまさに華々しく感動的である。大野のツボを押さえた細かい演出に都響の技倆が絡み合って圧巻のドラマが完結する。
演奏終了後はホール内大盛り上がりでブラボーの歓声も飛び交った。私も久々に血が騒いだ熱演。興奮のせいか脳内アドレナリンが出まくったのか朝からの体調不良もしばし忘れるようなことになったのである。

もっとも実はこの時には熱中症かPM2.5のせいだと思っていた体調不良が、実は別のものであったことが分かるのはこの後になるのだが・・・。
この遠征の前日の記事