徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

METの「フィガロ」と宝塚市交響楽団のはしご、宿泊は梅田のサウナで

週末大阪遠征に繰り出す

 この週末も大阪方面に繰り出すこととなった。そもそもはアマオケの雄・宝塚市交響楽団のコンサートがあるのだが、これがなぜか昼ではなくて夕方からの公演(メンバーに週末休みでない社会人でもいるのか?)。で、昼はちょうどMETで「フィガロの結婚」があるから、ついでにハシゴしようという考え。今期のMETは次の次がロッシーニの「セルビアの理髪師」とのことなので、連作ストーリーがまとめて上演されるということになるらしい(「フィガロの結婚」は「セルビアの理髪師」の後日談。原作にはさらにもう一作あるらしいが、面白くないのかオペラ化された話を聞かない)。

 なお私自身は「フィガロ」はモーツァルトのオペラの中では、異世界ファンタジーの「魔笛」や自虐ネタの「ドン・ジョヴァンニ」に比べるとあまり面白くないので、スケジュールによってはパスも考えていたんだが、たまたま予定と合致したというところ。なお映画「アマデウス」で「フィガロの結婚」の上演時、サリエリはその音楽のあまりの素晴らしさに陶然としたのに対し、皇帝は終盤に退屈してしまってあくびが出て、それがこの作品の初上演の失敗につながるという描写があったが、私の芸術に対する造詣なんぞ、所詮はこの皇帝レベルだということである。あの作品は天才モーツァルトに対して、彼の天才に気付きながらも自身はそのレベルの作品を絶対に作れないことも痛感させられる凡才サリエリの悲劇であったが、大抵の者は実はサリエリレベルにも到底及ばない非才であるということをも示しているのだが・・・。

世間のモーツァルト像を大転換した名作→購入はAmazon

 

 

 

 土曜日の朝は早めに家を出る。JRで大阪に移動。車両トラブルか何かがあった模様で、大阪到着は予定よりも若干遅れるが、そもそもの予定がかなり余裕を持ったものなので大きな問題ない。

 大阪に到着すると、これからの長丁場を考えてまだかなり早めだが昼食を摂っておくことにする。とは言うものの、時間的に店は限られる。とりあえず思いついたところで「ミンガス」を訪問して「ロースカツカレー(980円)」を食べることにする。

大阪駅地下のミンガス

 見慣れたカレーが登場。朝食からまだそんなに時間が経っていないので、腹はそれほど減ってはいないんだが、口にするとまずまず美味い。と言うことは今日は体調はまず良いようである。

今日はロースカツカレーがまずまず美味い

 昼食を終えると劇場へ。毎度のことながら11階にあるこの劇場はアクセスは実質的にエレベーターしかないんだが、このエレベーターが常に馬鹿込み。こういう辺りはやはりデザインだけは凝っていても動線設計が良くないんだろうな。京都駅ビルなんかにも通じる今時の建築デザインである。

 上映時間が来ると劇場に入場。あまり大きなスクリーンとは言えないが劇場内の席はほぼ塞がっている。こういう体験は初めて。やっぱりやせても枯れてもモーツァルトか。

劇場内は結構人が多い

 

 

METライブビューイング モーツァルト「フィガロの結婚」

指揮:ヨアナ・マルヴィッツ
演出:リチャード・エア
出演:フェデリカ・ロンバルディ、オルガ・クルチンスカ、サン=リー・ピアース、エリザベス・ビショップ、ジョシュア・ホプキンス、マイケル・スムエル、マウリツィオ・ムラーロ

 

 モーツァルトの代表作ともいえる軽妙な喜劇である。指揮者のマルヴィッツはモーツァルト作品に対する思い入れも深いらしく、そのことは序曲からすでに現れている。表現が実に幅広くて振幅が激しい。彼女のモーツァルト作品に対する思いが伝わってくるようで、それが作品全編を通して感じられる。

 また出演者自身も言っていたように、彼女の音楽テンポはやや早めのようである。そのために進行のテンポが良い。また喜劇ということでところどころに明確に笑えるポイントを散りばめたエアの演出(実際に場内で笑い声が上がっていた)のおかげで劇全体を通してのメリハリが良く、私も最後まであくびが出る余地が全くなかった。

 全編を通して進行役としてほぼ出ずっぱりの活躍のスザンナを演じたクルチンスカの抜群の歌唱と演技力を中心に、この作品の良心である伯爵夫人のロンバルディ、トラブルメーカーのケルビーノのピアースなど女性陣の活躍が目立つ。フィガロのスムエルは、軽薄男フィガロにしてはやや落ち着きすぎの感も無きにしも非ずだが、その実力はかなりのもので安定感がある。ほとんど道化の伯爵のホプキンスも美声でこの軽薄男を演じきった。

 流石にMETと言うべきか、私が以前にこの作品を見た時とは印象がかなり異なっており、これは流石にモーツァルトの代表作と言われるだけのことはあるという印象を抱いた。これは一番の収穫。

 

 

 上映が終わるととりあえず今日の宿泊ホテルに荷物を置きに行く。今日宿泊するのはニュージャパン梅田。サウナのカプセルホテルを確保したというパターンである。ニュージャパンは梅田東通商店街のど真ん中にある。かなり賑やかしい界隈である。地下伝いで泉の広場のところまで移動し、そこから地上に出たら目の前に商店街があり、その中にある。

この商店街の中にある

改装なったニュージャパン

 どうやら最近になってリニューアルした模様で、私が以前に調べたものと中のレイアウトが全く変わっているようである。1階がフロントで4階にカプセルホテルのロッカーがあり、私のカプセルも4階。カプセル自体は標準的なものである。

カプセルルーム

中は標準的

 とりあえず荷物を置いて館内着に着替えると、まずは汗を流すことにする。風呂の受付は2階にあり、宿泊客はそのまま館内着で行けば入浴可。2階には内風呂が、内部の階段で上がった3階には露天風呂やフィンランドサウナがある模様。最初は露天風呂で汗を流したが、湯温がやや低めであるので、内風呂でさらに体を少し温めておく。

 

 

 さて宝塚市交響楽団の公演だが、兵庫芸文で18時からである。17時ぐらいにここを出たら良いだろうから、まだ1時間程度余裕がある。そこで休憩スペースでPCを持ち出して執筆作業。ここの休憩スペースはコンセントもテーブルもあって良好だが、致命的問題はWi-Fiはあるものの電波が弱いのかインターネットが出来ないこと。仕方ないのでiPhoneでテザリングすることに。

仕事環境の構築はWi-Fi以外は問題なし

 なお私のノートPCは先の遠征で発覚したトラブルから、新たにDellで購入した新ノートに代わっている。今回ネット環境には問題があったものの、更新したPCはかなりパワーがアップしているので、以前に比べると作業性は格段に良い。

 しばし作業をすると17時前に荷物をまとめて外出することにする。行きは地下伝いで来たが、どうも遠回りしているような感じで疲れたので、今度は地上を直線的に突っ切ることにする。確かにこっちの方がかなり近い。阪急梅田駅にはさして時間もかからずに到着する。

 ホールに到着したのは開演まで30分を切った頃。かなり大勢の観客が入場している。一階席を見渡した感じでは9割方は入っている。宝塚市交響楽団大人気である。

今回の演目

 

 

宝塚市交響楽団 第75回定期演奏会

13型編成をとっているようだ

指揮:中井章徳
出演:宝塚市交響楽団

スッペ:喜歌劇「詩人と農夫」序曲
リスト:交響詩「レ・プレリュード」S.97
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68

 

 やはりアマオケの限界で管楽陣(というか端的に言ってホルン)にいささか難はあるが、弦楽アンサンブルはしっかりとまとまっていて、なかなかに鋭い演奏をする。一番感心したのはチェロのソロ。実に良い音を出していたのであるが、もしかしてプロだろうか? 弦楽陣を中心にかなりの安定感があり、それをベースに元気で盛り上がる演奏を展開した。

 二曲目の「レ・プレリュード」も同様の傾向。先程のスッペよりはさらに弦楽アンサンブルの実力が発揮される曲目である。実に安定感かあるので、このオケを聞く時は自然にアマオケに対するではなくプロオケと同じ聴き方になっているのに気付く。いわゆる少々の難には目をつぶるアマオケフィルタを外して普通に聴けるのである。

 休憩後のラストはブラームスの1番。まさに弦楽アンサンブルの真価が問われる作品。第一楽章から重厚にして美しくなかなかのもの。中井の指揮もオケを適度に煽って盛り上げるタイプの指揮。

 そのまま終始弦楽の美しさをメインとした演奏が続き、最終楽章の例の歓喜の歌もどきに至っては聞いていて思わずゾワゾワと来たぐらい。完全にアマオケフィルタを外して聞いていた。もっともそうなると、今度は時々ホルンのやらかしが耳に付いてしまったりするのだが・・・。

 見事な演奏に場内は結構な盛り上がりとなった。ハンガリー舞曲第10番がアンコールとして演奏されてコンサートは終了。流石に宝塚市交響楽団、なかなかにやる。

 

 

 コンサートを終えると大阪に戻る。昼食がかなり早めだったせいもあって腹が減った。とりあえず夕食を摂る必要があるが、梅田東通りはまるで通勤時の駅のホームのような馬鹿みたいな人混みでどの店も満員。やむなく目に付いた回転寿司屋に入店するが、そもそもネタが回っていない上に内容もイマイチ。結局は5皿ほどつまんだところで馬鹿らしくなって店を出る。

 さてどこでキチンと夕食を食べようか。しかし見渡したところまともそうな店は皆行列である。そこでふと思いつく。そう言えば地下の方がガッツリと晩飯というタイプの店が多かったような。そこで地下に潜ると、往路で若干気になっていた「豚汁専門店ごちとん」に入店する。

豚汁専門店ごちとん

 豚汁専門店と名乗っている割にはメニューはいろいろとある。おでん系なんかもあるようである。しかしここは豚汁を食べないと問題外だろうと豚汁定食を注文する。

大きな豆腐に驚く豚汁定食

 注文時に麦みそと米みそのどちらにするかと味はすっきりとあっさりのどちらにするか、それにご飯の盛りを聞かれる。私は麦みそのすっきり、ご飯は中で注文。

 うーん、私のイメージしていた豚汁とは少し違う。ドカンと大きな豆腐が入っているのが驚き。またもっとみそ仕立てかと思っていたが、意外にみそは効いていない。あっさりを頼んだものの、正直なところやや薄めに感じる。ただご飯と合わせていただくと結構悪くはない。

 夕食を終えるとお茶をしたくなったので、向かいにあった「甘党まえだ」に入店。ただしぜんざいやわらび餅がなくなっているので出せるメニューはかき氷類に限られているという。そこで「宇治金時のかき氷」ができるかを聞いたところ、可能とのことなので入店する。

 しかししばし待っても一向に出てこない。するとスマホで注文することになっているから注文が通っていないのだという(入店時に店員にメニューを確認しているにも関わらず)。この時点で「はぁ?」なんだが、店のシステムがそうなら仕方ないと改めてスマホから注文。すると今度は小豆がなくなったので宇治かき氷しか出来ないとの話

 もうこの時点でさすがの私も頭に来る。客を馬鹿にしているにもほどがある。「もういい」と言い残して店を後にする。もう二度と来ない店が一軒できてしまった。味がどうこうは好みがあるが、こういうのは問題外である。だから今回はあえて店名を記している。そう言えば思い返してみると「すみません」の一言もなかった気がする。

 せっかく素晴らしい音楽で気持ちよく帰ってきたのに、つまらないことで嫌な気分になってしまった。仕方ないのでホテルに戻って入浴してくつろぐことにする。露天で体をほぐして、内風呂で温めてサッパリする。

 後は休憩スペースでPCをセットしてしばしワークとすることにする。そうこうしているうちに夜が更けてくるので、適当な時間でカプセルに潜り込んで就寝する。

 

 

この遠征の翌日の記事

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