朝風呂でゆったりくつろいでから伊丹へ
翌朝は8時前に起床。結構爆睡したはずだが、体のあちこちが何かと痛い。なんだかんだで昨日意外と歩いていたせいか。
とりあえず朝風呂で体を温めると朝食へ。朝食は和定食を注文。関西人の私は納豆は食べられないが、焼き鮭はなかなか美味い。

その後はチェックアウトの10時まで休憩スペースでワーキング。昨日の原稿をアップしておく。
チェックアウト時刻が来たところで出かける。昨晩と一転して朝の梅田東通商店街は閑散としている。そんな中で行列があるのでなんだと思えば、パチンコ屋の開店待ち行列。ギャンブル廃人はオッサンのイメージがあったが、並んでいる面々が比較的若いことに愕然とする。こいつらが将来の維新カジノの肥やしか・・・この国の将来には暗澹たるものしか感じない。

さて今日の予定であるが、14時からザ・シンフォニーホールで台湾フィルのコンサートだが、その前に伊丹まで長駆しようと考えている。とりあえずJR大阪まで移動。喫茶で一息つきたいと立ち寄ったが、店員がこちらを全く無視してくるのでアホらしくなって出てきた。昨日といい今日といい、大阪界隈の店はどうなってるんだ? 客を馬鹿にしている店が増えすぎている。インバウンド殺到で放っていても客が来るから慢心してるんだろう。また飲食店が若者バイトに頼っているところにも根本的問題があろう。彼らにとっては店の将来の売り上げが大幅に落ちても自分達には関係なく、それよりは自分の目の前の仕事を減らした方が得なんだから。なんか大阪崩壊の足音が迫っているような気も。
機動力を削ぐキャリーは駅のロッカーに預けたかったが、例によって駅構内はロッカー難民がウロウロ。仕方ないのでキャリーを引きずりながらの移動となる。インバウンド急増はロッカー不足にも拍車をかけている。またそれが影響して、ロッカーの値段もジリジリと上がっていることも地味に響く。
有岡城をサクッと見学
伊丹まではJRの快速で2駅。意外に近いという印象。駅を出るとすぐにあるのが有岡城。かつて荒木村重が居城としていたが、信長に謀反を起こして逃亡、落城した有岡城は廃城となったようである。今ではかつての地形がなんとなく残っているという状況。

本丸跡には井戸跡と礎石なども残っているようである。




かつての内堀の跡も残っている。往時には惣構えの壮大な城だったという。伊丹の町自体は有岡城廃城後も街道の要衝として商業を中心に繁栄した模様。

目的としていた伊丹ミュージアムは駅前を抜けてすぐ。

「動物画譚展 おもしろくて不思議な動物たちの絵物語」市立伊丹ミュージアムで6/1まで

動物を題材にした作品を集めての展示。内容的には桃太郎など動物が登場する物語の江戸時代の読み本であるいわゆる赤本の類いが多い。そこに描かれている動物は多分に想像力豊かに擬人化された存在であり、風刺なども含まれていたりするようである。今ならさながら漫画だろうが、今の漫画と根本的に違うのは圧倒的に文字が多いこと。これは今時の子供なら読めないだろう。
個人的には興味深かったのは、円山応挙と長沢芦雪のモフ図があったこと。


さらに歌川国芳や月岡芳年の作品なども含まれていたことには注目。


さらに見たことがない動物を描いた作品もある。円山応挙が猫を見て描いた虎図とか、幕府の御家人だった高木春山が作った博物図譜などが展示されている。中で特に面白いのが国芳が洋犬を描いた風刺図。どうもあまりに通常の国芳の画風と異なっていることから、西洋の絵入り新聞を収集していた国芳が、何かの絵を模写したのではという説もあるとのこと。



展覧会の見学を終えるとミュージアムに隣接している旧岡田家住宅・酒蔵などもザッと見学する。大体どこの町でも造り酒屋と言えばその地域の名家と決まっている。ここにもかなり立派な酒蔵が残っている。かつて商業で栄えた伊丹の反映でもある。



ミュージアムの見学を終えるとプラプラと駅に戻る道すがらで昼食を摂る店を探す。目に付いたのは「奥出雲そば処一福」。

様々なそばがあるが、奥出雲そばと名乗っているからには割子そばを食べるのが筋だろうと、五段割子の「五宝割子(1650円)」を注文する。

五段になったそばが登場、一番上にはマイタケの天ぷらが、その下には卵、山菜、とろろ、大根おろしと風味の異なる5種をいただける趣向になっている。出雲そばといえばいかにも手切りの不揃いのそばばかり体験してきた私からすると、どうもやけに「整った」そばだなという気もしないではないが、そばの腰はしっかりしていてまずまず。とりあえず昼食を堪能したのである。

美味いものを食ったら気分が上向くのが私の常だが、食後に喫茶でも行きたいなと駅前を通り抜けてイオンモールまで覗いたが、そうこうしているうちに14時開演を考えると時間切れ。やむなく大阪に戻ることにする。
ホールに到着したのは開場直後。とりあえず喫茶でケーキセットでマッタリする。日替わりのリンゴと桃のケーキが美味い。またアイスコーヒーが火照った体に染みる。これで1000円はCPは悪いと思っていたんだが、よくよく考えると今時の喫茶店ってちょっと何か食べただけで2000円近くはぼったくられるんだよな。それを思うとそれほどでもないか。

さて台湾フィルであるが、正直なところ普通なら私はパスしているところだ。それをわざわざ訪れたのは、今時珍しく価格が安いこと(私が購入したB席で4000円)。それから指揮が準・メルクルで曲目がマーラーの4番だということ。準・メルクルは私が注目していた中堅指揮者の一人でもある。彼の近況が気になるところ。これが聞いたことのない台湾の指揮者で曲がチャイコやドヴォルザーク辺りならパスしていたところである。それと昨年の江陵市交響楽団での経験で、今時の韓国のオケは侮れないと痛感したこと。韓国が侮れないなら、台湾も侮るべきではないだろう。価格的に考えて、一流オケに及ばない演奏だったとしても、アマオケを越える演奏だったら割が合うという計算もある。
開演前になるとホールに入場。私の席は安席なので3階のベランダの見切れ席である。私と同条件の安席はそこそこ入っている。しかし場内を見渡すとP席と3階正面席には客を入れていない模様。1階席を見たところ、1階席前半は6割程度入っているが、1階全体では入りは3割と言うところか。予想はついてはいたが、かなり寂しい入りである。

台湾フィルハーモニック2025日本公演
[指揮]準・メルクル
[ヴァイオリン]ポール・ホワン
[ソプラノ]森 麻季
[管弦楽]台湾フィルハーモニック
シャオ・タイラン:フォルモサからの天使
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.61
マーラー:交響曲 第4番 ト長調
一曲目は台湾の作曲家シャオ・タイランの曲。当然のことながら私が耳にするのは初めてである。なかなかに美しい曲で、私には日本の童謡を連想させる曲。同じアジアの風俗として、心象風景に日本に通じるところがあるのだろうか。
台湾フィルの演奏はまず感じるのは音色が美しい。弦楽のアンサンブルの精度については欧米の一流レベルよりはやや落ちるが、十二分にプロレベルである。あえて瑕疵を見いだそうとするなら、個性の弱さだろうか。優等生的で美しすぎて「これが台湾フィルの音だ」というものが見えてこない。
二曲目はソリストにポール・ホワンを迎えてのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。ホワンの演奏は非常にテクニック的に安定しているものであり、全く危なげがないのであるが、それが故に個性の薄いきらいがある。バックのオケと同様で極めて優等生的なのである。そのせいで準・メルクルが指定するやや遅めのテンポと相まって、美しくはあるが緊迫感が欠ける感がなきにしもあらず。正直なところを言うと、元々この曲に対して「やや冗長である」という印象を持っている私にとっては、やや退屈な演奏であったと言うことを否定できない。もっともこれはソリストやオケの演奏が悪いという意味ではなく、あくまで私との相性の問題である。
休憩後の後半はマーラーの4番。しかし曲が始まった途端に度肝を抜かれる。極端な強弱変化にテンポの揺らし、独特のアクセントに溜の連発。正直なところ今まで聞き慣れたこの曲とは全く別のかなり個性の強い演奏。その個性の強さはいわゆるコバケン演歌をも凌ぐ。
私は以前にメルクルの幻想交響曲を聴いて「なかなかに面白い演奏をする」とは感じたが、ここまでアクの強い演奏をする印象はなかった。どうやらメルクルが台湾フィルという彼の変則的な指揮に対応できる技倆と意思を持った楽器を手にしたことで、本来の自分の音楽を解放したということだろうか。こうして聞くと、どうも先程のベートーヴェンはホワンの優等生的演奏に合わせて自分を抑えていたのではという気もする。
あまりにアクが強いので悪趣味といっても良い感じがある。恐らく人によっては強烈に拒否反応を示しそう。ボロクソに評する者がいても驚かない。なお私の場合は、自身が下品な人間なのでこれもありとは思うが、それでも時々「そこまでやっていいのか?」と疑問を感じる場面はある。第一楽章、第二楽章は終始その調子である。
ソリストの森麻季を迎えての第三楽章は、今度は一転してテンポを落として歌わせまくる。台湾フィルのアンサンブルは美しくはあるのだが、ここまで極端に落とすと今度はやけに曲が長すぎるように感じられる。正直なところ私は途中で厭きたのだが、スタンバイ状態で待機中の森麻季も心なしかしんどそうに見える。
そして最終楽章。美しくはあるのだが、やはり以前にも感じたように森の声量不足が目立つ。どうしてもオケがブンチャカやると埋もれてしまう。この辺りはいささか残念感が強い。
それにしてもメルクルがここまでアクの強い指揮者だったとは、恥ずかしながら今頃になって初めて知った。台湾フィルとの出会いがメルクル節を開花させたんだろうか。正直なところヨーロッパの一流オケなら、メルクルのアクの強い指揮に対して対応できる技倆はあっても、こんな変な演奏が出来るかと勝手に鳴らしそうな気がする。台湾フィルという技倆はありつつ、律儀にメルクルの事細かな指示に従うオケがあってのものだろう。
とにかくメルクルに度肝を抜かれたが、台湾フィルも技倆的に侮れないことを痛感したのである。しかしまだまだ知名度が低すぎるか。今回のコンサート、4番の第1楽章終了後に拍手が起こったり、曲が終わってもそのことが確信できないかのように拍手のタイミングがかなり遅かったことなどから、あまり慣れていない客が結構来ている印象を受けた。台湾人コミュニティに動員でもかかったのかもしれない。
この遠征の前日の記事