徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

びわ湖ホールで開催されたオペレッタ「メリー・ウィドウ」の公演を鑑賞する

今日はびわ湖ホールでオペラ

 翌朝は目覚ましをセットした7時半まで爆睡した。寝台は概ね寝心地が良かったようでかなり熟睡しているのだが、疲労がそれ以上に強くてすぐには動けない。しばらく寝台の中でグダグダしてからようやく起きだすと朝食のために外出する。

 朝食は近くにドトールがあるのでそこで済ます。まあ朝から食欲はそこそこというところか。

朝食はドトールで摂る

 さて今日の予定だが、今日明日とオペラ三昧という予定。やはりハイソな私にはオペラの雰囲気がピッタリ・・・ということは全くない。私は「歩く道徳教科書」とは言われていても、「歩くマナー教本」とは言われていない。むしろそういうハイソな世界は天敵のようなもので、オペラのやたら階層を感じさせる雰囲気はむしろ苦手。観客席にいても「やはりパリではウフフ」というような周囲のハイソなご婦人方の会話にどん引きである。またやたらに香水臭いご婦人が多いのも困ったもの。というわけなので、私が行くのは資金不足もあって庶民派オペラになる。

 とりあえず今日は14時からびわ湖ホールで開催されるオペラ「メリー・ウィドウ」を鑑賞する予定。阪哲朗企画の庶民向けオペラと言える。今日は当初予定では昨日に京セラ美術館に立ち寄ることが出来なかった場合の予備日に当てていたが、昨日予定通りにこなせたので(おかげで昼食抜きになったが)今日は特に予定がない状態。そこでチェックアウトの10時までホテルで過ごすことにする。

 ギリギリまで粘ると手早く荷物をまとめて、サッとシャワーを浴びてからチェックアウトする。このホテルについては綺麗だし、寝台もそれなりに快適であった。ただ男性にはワークスペースがないのが難点で、それらの点からもやはり女性ターゲットのホテルだと感じる(実際にフロントは女性ばかりだったし)。私が今後宿泊するとなるとワークスペースのあるプライベートカプセルが必須だが、部屋数から考えて確保できるかと価格が問題になるだろう。今回はお披露目価格的なものでやや安めだったが、場所を考えると今後は価格高騰して私の予算外となるのはほぼ必至のように思われる。

 朝の京都に出てきたが、今日もとにかく暑い。殺意に満ちた熱気の中で長時間うろつくのは自殺行為。今日は特に京都での予定はないので、近くのコンビニでステンレス魔法瓶にライフラインのミネラル麦茶を充填すると、さっさと滋賀に移動するつもり。京阪で三条まで移動するとそこから地下鉄の三条京阪へ。ここからは浜大津行きで直行である。

 それにしても毎度のことながら京阪電鉄京津線はすごい。まずは地下鉄から始まって、それが最小半径で急斜面をウネウネと走る山岳鉄道に転じ、最後は路面電車になって交差点を横断するという複雑で変化の多い構造。4両編成の地下鉄用大型車両が路面を走行するワイルドな姿は、全国でもここでしか見られないものだとか。

大津名物、路面を爆走する地下鉄

 

 

昼食は浜大津の人気店で

 浜大津に到着したのは11時前。実は今日の昼食の店は既に目星を付けている。京都などのような「とりあえず選ばなければどこかはあるだろう」という地域と違い(もっとも昨晩はそれで大失敗をしているが)、浜大津のようなローカルな地域は事前に昼食の店をいくつか目星付けておかないと、当日になって食事が摂れないということになりかねないので。そう「私は常に用意周到なの(脳内浜辺美波の声)」である。

 ランチ営業開始は11時からなのでまだ10分以上あるが、どうやら人気の店との話なので数分待つのを覚悟して現地に向かう。立ち寄ったのは「ニクバルモダンミール大津店」。浜大津の大津公会堂という風情ある建物内にあって、手頃な価格で近江牛を食べられるとされている店である。

大津公会堂の建物

 現地に到着したところで私の判断が正しかったことを瞬時に理解する。既に開店待ちの行列が20人弱。その最後尾に付くが、すぐに私の後ろにも数人の行列。そのまま数分待って幸いにして私は開店後第一陣に紛れ込むことが出来る。

 店内はあまり広くないが、鏡を使うことで店内の狭さを感じさせにくくしている。店内はすぐに満席。私はランチメニューの赤身ステーキ80グラムに有頭海老フライを付ける。

鏡を使って巧みに狭さを感じさせにくくしている

 最初にサラダとスープが到着。この辺りは結構オーソドックスである。

まずはサラダとスープ

 メインはステーキ。年齢のせいで胃腸の衰えた私は、コッテリした霜降りステーキなどを大量に食べると間違いなく消化不良を起こすので、最近は赤身ステーキにすることが多い。この赤身、オージーなんかだったら味も素っ気もないことになりがちだが、流石に近江牛は味があるようだ。なお80グラムだったらボリューム不足だろうということで海老フライをつけたが、こちらはまあ普通。自家製らしき非常にゆで卵っぽいタルタルソースは、残念ながら私の好みとはズレる。

ステーキとライス

 肉は新鮮さに自信があるのでレアで提供するとの記載があったが、確かに中の赤い状態だが、そもそも鉄板に乗っているためかレアと言うよりもミディアムレアの状態のように思われる。まあ柔らかくて良いし、赤身の場合は特にこの方が正解。

焼き加減はレア(実際はミディアムレアぐらいか)

 以上で2500円ほどのやや贅沢ランチ。ファミレスなどで食事すると、これよりも遙かにお粗末な内容で同程度の料金を取られることを考えると、まあこの界隈で人気が出るのは理解できる。なおさっさと食事を済ませて私が店を出た時には、既に私の来店時と同レベルの待ち客が殺到していたのである。

私の退店時にも店の前には行列が

 

 

大津名物力餅で一息つく

 とりあえず昼食を終えたところでまだ正午前。開演が14時で開場が13時と言うことを考えると、喫茶ででも時間をつぶしたいところ。このプランも既に練ってある。駅前の三井寺力餅本店を訪ねて力餅と抹茶のセットを頂く。

駅前の三井寺力餅本店

 ゆったりとしたところでお茶を頂きながら力餅を堪能。柔らかい餅に絡む青みがかったきな粉の味が抜群。原稿の執筆などをしつつ、しばしマッタリと過ごす。

奥の喫茶室でマッタリ

力餅と抹茶のセット

 ここは2階に大津絵の展示があるのでそれも鑑賞。何となくユーモラスな絵画である。

2階には大津絵の展示がある

何とも素朴な印象の絵画

 階下に戻ってくるとさらに抹茶ソフトクリームを追加する。やはりこの暑さだとこの手のクールダウンも欲しい。

抹茶ソフトクリームを追加してクールダウン

 しばしマッタリと過ごした後、京阪でびわ湖ホールへ。会場到着は開場の13時頃・・・と考えていたのだが、現地に到着して初めて開場が13時半であることを知る。しばしホール前で待たされることに。

久しぶりのびわ湖ホール

今日の会場はこっちの中ホール

 しばらく待って開場時刻になるとゾロゾロと入場。場内はほぼ満席の模様。回りの観客を見渡すと、着飾った有閑マダムという姿はなく庶民オペラという感覚。おかげで私としても疎外感はない(笑)。

 

 

レハール作曲オペレッタ「メリー・ウィドウ」(日本語上演字幕付き)

指揮:阪哲朗
演出:唐谷裕子
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
並河寿美(ハンナ)、市川敏雅(ミルコ・ツェータ男爵)、高田瑞希(ヴァランシエンヌ)、迎肇聡(ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵)、奥本凱哉(カミーユ・ド・ロシヨン)他

 レハールの人気オペレッタの陽気な未亡人こと「メリー・ウイドウ」である。ストーリーは単純明快で、元々愛し合いながらも身分違いで別れさせられた恋人たちが、紆余曲折を経て元の鞘に収まるというハッピーストーリーを軽妙なドタバタで描いている。

 開演前に演出を手がけた唐谷裕子が舞台に登場して事前説明。そこでオペレッタとミュージカルの違いはマイクを使わないか使うかだと端的な説明をしていたが、確かに本作は台詞部分が多い(それだけに演出家がストーリーに関与する余地が大きい)上に、日本語翻訳版で演じているために予想以上にミュージカル感が強い。なお台詞が日本語で場合によってはアドリブも含んだものになることから、バランス的に歌唱部分も日本語にしたのだと推測出来る。ただどうしても訳詞はややたどたどしいところがあるので、純粋に音楽を楽しむとしたら原語の方が良いように感じられる。

 劇自体は非常に軽妙でコミカル。その中でここ一番になるとレハールの美しくも官能的である音楽が披露されるパターン。声楽陣の歌唱力は派手さこそないが安定しているし、阪の指揮も流石にオペラの空気を把握しているもの。全体的に安定感が非常にある公演である。

 ストーリーはお互いに未練タラタラのクセに、妙に意地を張る男女の微妙なすれ違いを軸に恋の駆け引きという内容。まあ他愛のない内容ではあるのだが、時代を考えた時にやけに自立していて現代女性的なハンナの行動力の高さが印象に残るところ。何だかんだ言いながらも色男ミルコは一方的に翻弄されているように見えた。劇中で男性陣が「女はよく分からない」という趣旨の歌で盛上がる部分があるのだが、ある意味であれが本作の本題か。

 オペラ入門編としては非常に楽しみやすい作品であった。もっともレハールの音楽は艶やかで美しいが、いわゆる深みのあるものではないので、その辺りを求める者には向かない作品とも言えなくもない。まあオペレッタだし。私は途中で宝塚歌劇を見ている気分になって、奇妙な感覚を味わったが。


 公演が終わると大津駅までの送迎バス乗り場に急ぐ。この後は宿泊地の三ノ宮まで長駆のトンボ返りとなる。とりあえず第一陣のバスに乗り込むと大津から新快速で長距離移動。1時間ほどで三ノ宮に到着する。

 

 

神戸に移動する

 今回宿泊するのは二宮旅館。明日は西宮で佐渡オペラなので西宮・三宮界隈でホテルを探したのであるが、三連休のためかまともなホテルはなく、この初めて宿泊する和風旅館を選んだ次第。

 旅館までは徒歩で10分程度。とりあえず途中で夕食を摂っていくことにする。昼食が洋食だったことから気分は中華なので、目星をつけていた中華料理屋に行こうと思うと表に行列。そこで諦めてさらに先に進むと「第一旭」があったので、ここで夕食を摂ることにする。

第一旭に入店

 注文したのはチャーシュー麺と半チャーハン。私がイメージする神戸ラーメンと言えばやはりここのものが印象が強い。細麺のしょうゆ味はいかにも。ただ気になったのはチャーシューが塩分多めすぎる。チャーシューを食べていたら途中で口の中がしょっぱくなりすぎてチャーハンの味を感じなくなってしまった。またそもそもチャーハンがやや多めだったこともあって、これは少し残すことに。

半炒飯

チャーシューメン

麺は細麺

 

 

町の和風旅館で宿泊する

 夕食を終えると旅館に向かう。到着した二宮旅館はいかにも和風の木造建築。はっきり言ってかなり老朽化していて汚いとも言えるが、手入れはそれなりにしてあるようで、古くはあるが不潔という感はない。

二宮旅館に到着

 通されたのは二階の和室。畳の部屋は良いんだが、一番の問題はこういう構造はトコジラミに一番弱いこと。もし持ち込まれたら隠れる場所が多すぎて万事休すである。だから現在新今宮のホテルでは和室を次々とフローリングに改装している。とりあえずいつもより丹念にトコジラミチェックをしてから、気になる個所と荷物にはいつもよりも多めに忌避剤を散布しておく。もっともこの時点で這っているのが見つかるようなら、それは論外と言ってもよいが。後は持ち込まれていないことを祈るのみ。以前はこんなこと気にする必要がなかったのだが、これもインバウンドの弊害である。

旅館の和室

 一応旅館内をチェックしておく。私がホテルで一番重視することの一つはトイレ。和式の汚いものしかないなんて場合は論外である。ここは改装したらしく新しい洋式の洗浄式便座がありとりあえず合格。

 頭から汗だくなので、他の客が来ないうちに入浴しておくことにする。なお近くに銭湯もあるとのことだが、既に散々に暑さでやられてしまっているので、わざわざ風呂のために出かける気もしない。風呂は一階の離れ的な場所にあり、浴槽はステンレスで何となく流しで入浴している雰囲気。まあ清潔に保ちやすいということで管理には良さそうだが。ちなみに入浴時に足が滑って転倒しかけて手首を軽くひねったので、これには注意。

 入浴を終えると和室型仕事環境構築。一応Wi-Fiがあるのはメリット。和風旅館には「インターネットって何ですか?」というようなところが未だにあるのでこれはポイントが高い。

Wi-Fiが使えるのはポイントが高い

 しばし一息つくと、近くのコンビニに飲料と夜食の買い出し。途中で某カルトの巣の近くを通りかかるが、中からベビーカーの女性が出てくるのを見かける。可哀想に。親がカルトの信者だったら、その子は後々に重い十字架を背負う羽目になってしまう。願わくはその子が物心つく前に親が騙されていることに気づいて目覚めることを。

 部屋に戻ってくるとライフラインことミネラル麦茶を魔法瓶に詰め込む。この部屋の設備上の難点は冷蔵庫がないこと。一応階下に共用の冷蔵庫はあるようだが、それだと何かと不便。またお湯などもそこにしかない。とりあえず魔法瓶に移しておけば、明日ぐらいまでは冷たい麦茶を飲めるだろう。

 とにかく体に熱気が入ってしまっているので、ライフラインの消費が異常に多い。そして体のダメージもひどく、結局はろくに執筆作業も出来ないまま、この日はかなり早めに就寝する。

 

 

この遠征の翌日の記事

www.ksagi.work

この遠征の前日の記事

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