徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

姫路地区マイナー山城(楯岩城、英賀城、国府山城)巡り&「連作の小宇宙」at 姫路市立美術館

 昨日は夏バテ気味で散々だったが、家に帰った後にひたすら寝続けて何とか回復。となるとこのままゴロゴロしていると体が鈍りそうな気がしてきた。そこで思い立って姫路の美術館を訪問すると共に、同地のマイナー城郭を攻略することにした。

楯岩城 赤松氏の山城

 まず最初に立ち寄ったのが「楯岩城」。国道2号線から太子竜野バイパスに突入し、山陽自動車道の山陽姫路西ICに向かう姫路西バイパスが分岐する前のトンネルの上にある山城である。

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楯岩城遠景

 楯岩城は赤松則弘が建武年間(1334~1338年)に築城した城郭で、嘉吉の乱の際に落城したという。その後は赤松貞村が居城として5代続いた後に秀吉によって落城させられたとか。

 やはり高山好きの赤松氏らしく、かなり高い山の頂上に構えた城郭である。麓から登る登山道もあるらしいが、体力に全く自信のない私はなるべく車で上まで登ってから攻略することにする。この山の中腹には今は閉鎖された老人施設があり、そこに行く山道が通っているはずである。かなり狭い上に急な道で、ノートだとギアをLに入れてもエンジンが死にそうな音を上げているが、とにかく道路が閉鎖されている一番上まで登る。

 そこに車を置くと閉鎖された道路を徒歩で進む。何十メートルと進まないうちに山頂に向かって登る道が設置されているので、そこをひたすら登ることになる。距離としてはそう長いわけでもないのだが、斜面を直登するような道なのでなかなかしんどい。

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山道のどん詰まりから車止めを越えて先に進む

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途中に山道がつけてある

 途中で倒木が道を塞いでいたり、大きな岩を乗り越えたりなどのお約束があるが、山頂の電波塔のところに到着するのには20分もかからない。この電波塔のあるのは北側の山頂でここが本丸とのこと。巨石がゴロゴロ転がっており、これらは城の構えに使用されていたのだろうか。

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倒木に道を妨げられ

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巨石を乗り越える
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電波塔が見え、何かの遺跡らしい巨石も

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この曲輪に巨石がゴロゴロしている

 もう少し南に行ったところにこの山の山頂があり、この辺りも明らかに曲輪らしき構造になっている。本丸の続きかはたまた二の丸か。ここには三角点があるが、その背後に巨石が積み上がっている。何のためかはよく分からないが、私の勘ではここには祠でも祀っていたのではないかと考える。

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さらに奥に進むとまた巨石の群れ

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この巨石は何なんだろう?

 さらに南西方向に降りていった先にも曲輪がありそうな雰囲気があるが、そこまで行くのはやめて引き返すことにする。

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この先にも何段かの曲輪らしきものが

 帰りは急な下りなので行きよりも慎重に進む。途中まで降りてきたところでバイクで登ってきていた人がいて驚く。バイクも意外と登坂力があるようだ。

英賀城 三木氏の城も今は住宅地に埋もれる

 次の目的地は黒田官兵衛絡みの城郭だが、その前に行きがかりの駄賃で「英賀城跡」に立ち寄る。と言っても今や遺構は住宅街と田んぼに完全に埋もれており、今日残っているのは土塁の一部のみ。この近くには英賀城跡公園があり、天守台に見立てたと思われるインチキ石組みが見える。本丸の跡には石碑と説明看板が立っているのみ。ちなみに英賀城は赤松氏が守る砦だったが、嘉吉の乱で赤松氏の勢力が減退した後に三木氏が城主となって整備されたと言う。で、お約束のように秀吉に滅ぼされている。

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英賀城公園のインチキ天守

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英賀城土塁跡
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本丸跡は看板があるだけ

 土塁本丸跡の距離から考えてもかなり大規模な平城であったと考えられる。この辺りは元々は低湿地と思われるので、堀や水路を縦横に巡らせた城郭だったのだろうと推測される。

国府山城 黒田官兵衛ゆかりの山城

 英賀城を通り抜けると向かうは「国府山城(妻鹿城)」。黒田官兵衛の父・職隆が築いた城郭で、官兵衛が姫路城を秀吉に譲り渡すと自らはここに移ったという。

 以前は登山道もろくに整備されていないというような話を聞いたことがあるのだが、大河ドラマの関係で急遽諸々が整備されたようだ。道路手前から案内看板まで立っているので、場所を間違う心配はない。今時ろくな作品のない大河ドラマだが、こういうところには影響力があるようだ。ただ後数年もすればその大河ドラマも忘れられ、現地の山道は下草に埋もれて案内看板も朽ち果ててしまうなんてのがオチなので、そうならないうちに訪問しておいた方が賢いだろうという判断。

 遠くから見た山容は市川沿いにそそり立つ独立峰で、周囲はかなり切り立っているが山頂は平坦なように見えることから、城郭にするには格好の地形である。もし私がこの地域の支配者だったとしても、まず間違いなくあの山上に城郭を構えたはずである。

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国府山城遠景

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案内図

 登山道は麓の荒神社から出ている。一部下草が茂ってきていたり、笹がひどく繁茂している箇所もあるが、登山道はまだ概ね良好に保たれているようだ。途中で井戸跡やかまど跡などを見学しつつ登っていくと、笹藪を抜けたところで南側の鉄塔がある。この辺りの笹藪はかなりひどくて周りの状況がサッパリ分からないので、出来れば完全に払ってしまって欲しいところである。笹は繁殖力が強いので、このままだと早晩ここの道は埋もれてしまいそうである。

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登山道は荒神社から

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登山口に黒田官兵衛の旗が

 

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登山道は整備されている

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井戸跡

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かまど跡
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しかし鉄塔手前では深い藪に進路を阻まれる

 鉄塔の先には経塚跡がある。そこからはいくつの曲輪を経ながら本丸に向かって登っていくことになる。途中には二層の隅櫓跡とか狼煙跡なんて表記もある。

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鉄塔を抜けた先にある経塚

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登った先の廓跡

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狼煙廓

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二重の隅櫓跡

 最高所が本丸で、ここは木を刈ったりなどの整備がされているようで北西方向の視界がかなり開けており、遠くには姫路城を望むことも出来る。また西方向はかなり切り立っており、この城郭の堅固さを思わせる。

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視界が開けてくると

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本丸に到着

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姫路城を遥かに望む

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本丸からの風景

 ここからさらに北東方向に向かう。途中で急坂を井戸曲輪まで降りたりしたが、結局はもう一度上に登ってくることになる。一番北のどん詰まりにも大きな曲輪がある。

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北廓

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近くの井戸廓

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上に上がって盤座跡

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北の奥の曲輪はかなり広い

 ここからは腰曲輪を経由して帰ってくることになるが、途中で二つ目の鉄塔に出くわす辺りの笹がまたひどくて、道を見失いそうになるぐらい。この笹は今のうちに何とかしておいて欲しいものだ。もしかしたら黒田官兵衛ブームの頃には刈っていたものが、その後放置されてこうなったのだろうか。とにかく笹や竹は成長が早い上に侵略性が高いので困りものである。刈ったぐらいならすぐ生えてくるので、出来れば根こそぎ焼き払いたいところだが、実際はそう乱暴なことも出来ないだろう。ただ最近は各地の城跡で竹や笹の侵略を受けているところをよく見る。あいつらはとにかくたちが悪いので要注意。

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腰曲輪

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しかし帰り道は完全に藪に埋もれる

姫路キャッスルグランヴィリオホテルの華楽の湯

 山城を回ってかなり汗をかいたし腹も減った。美術館に立ち寄る前に入浴と食事をしておきたい。姫路駅前の姫路キャッスルグランヴィリオホテルに日帰り入浴施設の華楽の湯があるとのことなので、そこで入浴をすることにする。

 ホテルの立体駐車場に車を置くとホテル本体へ。浴場は中で窓口はフロントとは別にある。私は今回はタオルを持ってきていないので、レンタルタオルセットをつけて1200円。湯について調べようと成分表を見たところ、源泉は花温泉とのこと。花温泉と言えばかつて安富町にあった温泉施設で、私はたまに行っていたのだが最近になって閉鎖されたところである。そこの温泉をどうやら運び湯しているようだ。

 風呂は岩風呂やらヒノキ風呂やら多彩。そう大きいわけでもないが小さいわけでもないというところ。肝心の湯の方だが、残念ながら安富花温泉で感じられたような硫黄臭は皆無。加温循環しているせいか新湯と大して変わらないような印象。アルカリ単純泉なんだが、ヌルヌル感もあまりない。正直なところ温泉としては今ひとつだが、普通にスーパー銭湯のように考えるとマズマズか。

 昼食はここの食堂で摂ることにする。本当は昼食メニューを注文したかったのだが、ホテルに着いた時点で昼食時間は終了しており、今はティータイム。仕方ないのでティータイムでもある食事メニューをということで、おろしそばとおにぎりを注文。そばはボリュームはさしてないが味はマズマズ。一方のおにぎりはやけにボリュームがある。

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食事処で昼食

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おろし蕎麦とおにぎり

 泉質はそれほどでもないが、そもそも姫路地区には温泉が皆無であることを考えると、今後も汗を流すのには使えるか。なお入浴で3時間、さらに食事もすると合計で5時間駐車場が無料になるとのことから、ここでゆったりと過ごすのが良いようだ。リラックスコーナーなどもあるらしい。ただ今日は次の予定があるので1時間程度でホテルを後にする。

 最後は美術館に立ち寄ることにする。しかしこのホテルから美術館までの道のりが大渋滞。スムーズに走れれば5分もかからないところが20分ぐらいかかる始末。

「連作の小宇宙」姫路市立美術館で6/24まで

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 いわゆる連作作品に注目してそれを展示するという主旨なのだが、ハッキリ言ってテーマとしては極めて曖昧。連作作品は点数が多いためになかなか一挙展示しにくいから、この際にやっておけというようにも見える。実際に展示されている作品は「連作」という意外には特に脈絡はない。

 展示作の中で面白かったのはピカソによる「ヘレナ・ルビンスタインの肖像」の連作。同一人物の肖像スケッチを描く中で様々な手法を試みており、そのテストのための作品群と言ったところ。比較的普通のスケッチから、明らかにキュビズム風のスケッチまで様々でかなり試行錯誤が見られる。

 後は「大日本魚類画集」か。鯛やヒラメなどのやけに美味そうな魚が並んでいたのが何とも。


 美術館の入場料が割引使用で400円だったのに対し、駐車場の料金が600円なのには呆れた。以前からここの駐車場はボッタクリもいいところである。本来は美術館に入館したら割引があっても良いのだがそれもなし。そもそも料金プランが3時間600円しかないのがおかしい。せめて1時間200円の料金体系にするべきところ。こういうところは姫路市の一番駄目なところである。観光に力を入れるべきであるのに、根本的なところがダメダメ。こういうサービスの基本がなっていないから、何かをする度に大失敗を重ねているわけである。

 姫路地区のマイナー城郭巡りであったが、意外に見所のある城郭もあった。まだまだ知られざる城郭は各地にいろいろありそうである。

 適度に汗を流し、適度に体をほぐしたところで帰途についたのである。これで明日以降、体がガタガタにならなければ良いのだが・・・。