徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

ベルリンフィルの時間差ライブでブロムシュテットのブルックナー

疲れて帰ってきた日は音楽で心を癒やす

 今日は久しぶりの山城攻略に乗り出したが、その山が想像以上にハードだったので身体がガタガタである。とりあえずその経緯は別の記事でまとめたが、帰宅してようやくシャワーで汗を流してホッとしたら、今度はベルリンフィルのライブである。

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 今回の指揮者は御年94歳の現役最長老ながら、老いてますます盛んの気のある、クラシック界の生きた伝説ブロムシュテットである。何しろ94歳という高齢にもかかわらず、ブルックナーの大曲を椅子も使わずに立ったまま指揮するというだけで化け物である。もっと若い指揮者でも椅子に座りながら振ることが多いというのに。

 しかもブロム爺の演奏は老いてますます若さが増してきているなどとも言われている。実際に私も最近聞いた彼の演奏には老いから来る弛緩などが全く見られず、若々しい生気に満ちていることに絶句したことがある。果たして今回はどういう演奏を聞かせてくれるか。

 

 

ベルリンフィルデジタルコンサートホール

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

ブルックナー 交響曲第5番変ロ長調(ノヴァーク版)

 冒頭から重厚さや渋さよりも荒々しいまでの生命力と躍動感にいきなり面食らう。老いて逆に若返っていると言われているブロム爺の最近の信条である。ただ若手指揮者なんかにあるような単に暴走して荒っぽいと言うのとは違い、キチンと目が行き届いているのは流石。とにかく無駄や虚仮威しがない。

 その後も一貫して重厚さや安定感と言うよりは、躍動感が支配する音楽。やや軽めに感じられるような場面も覗えるが、時折見せる美しさがなかなかに絶品。

 それにしてもとにかく弛緩しないのがブロム爺の凄さ。この曲などは下手するとダラダラしたとんでもない曲になってしまうのだが、そこに一本筋が通っている。もっとも外連味とは無縁の演奏であるので、私のようにそもそもブルックナーがあまり得意でない人間には、もう少し変化が欲しい気もしなくはないが。


 演奏終了後にはホールは暖かい拍手に満たされ、ブロム爺の一般参賀あり。まあ熱烈に支持されているというよりも、聴衆に愛されているのであろう。今回のライブを見ていても、まだ足取りなどはしっかりしていて、そこに老いは見られなかった。ブロム爺が今後も第一戦で活躍し続けることを祈るのみ。