徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

1ヶ月前に撤退した駒山城にリベンジする

リターンマッチだ!!

 今週は先月にスゴスゴと撤退した上郡の駒山城にリターンマッチをすることにした。前回のトライではとにかく運動不足が祟って足腰がガクガクの上に、駒山城の前に訪れた乙城で足が終わってしまったという状況だったので、遊歩道の最初を少し登っただけで断念して撤退している。その雪辱を果たすべく、その後の私は血の滲むようなトレーニングを・・・積んでない(笑)。しかし以前よりも身体を動かす機会を増やしながら体力回復には取り組んでいた。そしてこの週末、満を持して再挑戦と相成った次第。

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 と言っても本来は土曜日に行う予定だったのが、平日の仕事の疲れが祟って土曜は朝からダウンという状況だったために、急遽日曜に振り替えたという情けない次第。まあまだまだ体力的に不安はあるが、とりあえず遊歩道のある山である、直行直帰のつもりならよもや再び退けられることはなかろう・・・と踏んでいた。

 前回に遊歩道の入口まで行っているので場所には不安がない。今朝も体調の関係で出発をモタモタしていたせいで現地に着いた時には既に昼過ぎ。現地で昼食を取ってから登ろうかと思ったが、残念なことに上郡界隈の飲食店は日曜日は休みというのがデフォルトのようで、前回訪れた「久」に「ヨット」のいずれも休業。今朝は朝食が遅かったせいでさして腹も減っていないのでこのまま登ることにする。

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駒山城登り口に到着

 

 

前回の撤退地点は越えたが、先行きは大変

 とりあえず前回撤退を決定した最初の登りはクリアする。これだけでもかなり息が上がるのが現在の私の体力。ここからしばし平坦に近い道になるが、ここの途中には曲輪ともつかない小平地が通路脇にあるが、ここは尾根筋を守る関所などに出来そうである。ここに限らず、この城はこの先も険しい登りの先には関所に出来そうな場所が必ずあった。

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初っ端から登りがキツい

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前回断念したこのポイントは過ぎる

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急な登りの後はやや平坦な道が続くが

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そこにはこういう関所に出来そうな地形が

 ここの平地を歩いている時に、上から降りて来た団体と出くわす。どうやら地元のハイキンググループのようだ。ここの城の入口のところにわざわざ「私有地だから駐車するな」という表記があったので、わざわざここまで明記するのは何かトラブルがあったのではと推測したが、結構ハイカーが来るのでその車で下の道路が塞がれるなどのトラブルが起きたのかもしれない。

 

 

本格的な岩場に直面する

 その先には最初の岩場があり、そこには岩場を通る「ヤングコース」と迂回する「シルバーコース」の表記がある。こう書かれるとシルバーに方には行きにくいところだが、結局はこれは年寄りの冷や水という奴だったかもしれない。無駄に体力を消耗するだけになった気もする。しかし実はこれがこれから先にも続く岩場登りのウォーミングアップであることに気づくのはこの後だった。

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最初の岩場にさしかかる

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何やら挑発的な張り紙が

 ここを越えてしばらく進むと、本丸まで700メートルの看板があり(これでやや気持ちが挫けそうになる)、その先にはむき出しの岩盤の斜面(馬の蹄跡)がある。これを見た時に「ああ、先ほどのヤングコースを上れないようなシルバーは、ここでリタイヤしなさいという意味だな」と悟る。私的には「まあ登れなくはない」と判断して進むが、ここまででヨタヨタだった者ならここで断念するのが正解。そう言えば入口の看板も「駒山遊歩道」ではなく「駒山登山路」と記載してあったことを思い出す。そもそもここはハイキング気分で来てはいけない山なのである。

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登り切った先にあるこの標識

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挫けそうになりながら先に進めば

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目の前に立ちはだかるのがこの岩場

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これが馬の蹄跡とのこと

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そう言えば入口の看板もキッパリと「登山路」と表記

 ここに来て靴のチョイスを間違えたことに気づく。私はいつものスニーカーで来ていたのだが、これが何かの弾みで突然にスベることがあるので恐い。基本的に馬の蹄跡の岩肌はザラザラしているので、そうそうスベることないが、そこに土がパラパラと乗っている場合が危ない。基本的には「手を使わないといけないような山には登らない」を原則にしている私だが、今回は手も使わないといけないようである。結局は一歩ずつ用心しながら登っていくことになる。

 

 

本丸直前に最後の難関

 岩場を一つ登るごとに体力が尽きてライフライン(ミネラル麦茶)を使用しながら休憩が必要。結局はこれ以降もむき出しの岩場が大小3カ所、土の被った長い岩盤斜面1カ所を乗り越えることになる。このような行程なので、途中で山頂がそこに見えてきても「ようやくここまで来た」というよりも「まだあれだけ登るの?」というウンザリ感の方が強い。

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馬の蹄跡を抜けた辺りにこの標識

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しかしこういう嫌な張り紙も

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山頂が見えてくるものの・・・

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さらに岩場に遭遇

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ここは岩の影から敵兵を狙撃できそう

 ヘロヘロになりながらようやく一番の難所である本丸下の岩場まで到着するが、この岩場が結構長い。結局は途中で一息つきながら何とか登り切るとそこに駒山城案内図がある。

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本丸直前の岩場が長い

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それを登り切るとようやく案内看板が

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城の縄張図

 

 

本丸に登るが、ここで思わぬ事故

 そこから一段登った先が本丸である。ところで駒山城は南北朝時代に築かれて戦国時代に手直しされたとのことだが、その正確な由来は不明らしい。元々は赤松氏の城郭ではといわれているらしいが、個人的にはそれに同意する。というのは赤松氏の城郭は、とにかく「何を恐れてこんなに高地に」という山城が多いのが特徴であり、ここもその同じ流れを感じる。

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本丸は一段上

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本丸はそう広くはない

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高度はあるのだが眺望は今ひとつ

 本丸は大して広くはない。また残念ながら木で視界が塞がれているので、眺望は良好とは言い難い。ちなみにここが山頂になるのだが、城マニアとしての本番はむしろここからである。この背後に二の丸が続いており、あの間には空堀などもあるという。

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本丸の奥に降りていくのだが

 本丸の背後に降りるがここで不覚を取る。スニーカーが滑ってバランスを崩したのだが、ここでマズいことに足がもつれた形になり頭から落ちそうになる。転落のバターンとしてはこれが最悪、足から滑ったらせいぜいが尻餅をついて足を擦りむく程度、最悪でもせいぜい捻挫ぐらいだが、頭から転落したら1メートル程度の高さでも最悪は命を落とすし、落ち方によって腰を痛めてその場から動けなく危険がある。一瞬にして「ヤバい」と感じて必死で体制を立て直すのに四苦八苦。結局は運良くその場で転倒するに収まって転落は免れた。これは正直かなりヤバかった。10年ほど前に津和野城の石垣に登っていて2メートルぐらいの高さから転落したことがあるが、あの時は背中からリュック上にそれも枯れ葉が積もっていたところに落ちたおかげで、怪我はなくスボンがビリビリになるだけで済んだことがあったが、ヒャッとした点ではそれ以来の気がする。やはり靴を見直す必要がありそうだ。

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この段差で向かって左の斜面に転落しそうになった

 

 

二の丸周辺を見学

 ヒャッとしたが何とか本丸の裏に降りてくるとそのさらに下には何やら祠のある小曲輪がある。そしてその先が空堀。なお空堀という記載がある場所はやけに穴が深くて、ここは空堀ではなくて井戸か天水かの跡のように思えるのだが。

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かなり降りることになる

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本丸の裏手はかなり切り立っており

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下の小曲輪には何やら祠が

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その周辺は空堀の表記があるが井戸の方がしっくりくる

 そこから土橋で渡った先を登ると二の丸に出る。二の丸脇には帯曲輪のようなものがあり、ここからは南西側に見晴らしがきく。

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二の丸には土橋を渡る

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そして結構登る

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途中に帯曲輪のような構造が

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ここからの眺望は抜群

 

 

二の丸はかなり広い

 二の丸は三段ぐらいになったかなり広い曲輪。明らかに城の機能としてはこちらがメインである。ここに大兵力を詰めて攻城側と渡り合ったものと思われる。

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ここから二の丸に登る

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三段ぐらいになっている二の丸の三段目に出る

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二の丸二段目から最上段を

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二の丸最上段

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ここに案内看板がある

 二の丸の一番下の段まで降りてみると、その先はかなり急な崖である。なかなかここを登って攻めてはこれないと思うが、さらに防禦を万全にするなら、私が城主ならこの周辺の崖に連続畝状竪堀を配備したいところである。そうすれば恐らくこの方面からの攻撃はほぼ不可能であろう。

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二の丸三段目の下にもさらに曲輪が

 

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この石がその先端

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回りの崖は切り立っていて普通には登って来れそうにない

 これでようやく駒山城のリターンマッチは成し遂げられた。とは言うものの、実はここからが本当は一番大変な行程だったのである。むき出しの岩場の斜面は登るのは出来ても、そこを安全に降りるというのは極めて困難なのである。しかも既に足腰はかなりガタガタになっており、ここ一番で不覚を取る可能性がある。結局は帰路の方が往路以上の時間をかけて慎重に進むことを余儀なくされることになったのである。結果として往復に見学時間を加えて約2時間を要することになった。見応えはそれなりにあったが、なかなか難儀な山城であった。

 状況によってはもう一カ所と言いたいところだが、駒山城から降りて来た私の状態はもう限界なのは明らかであった。結局はこの日はこれ以上は何もすることが出来ず、直帰するのである。