朝食を摂るとレンタカーで出かけることに
翌朝は7時に起床する。何やら既に体がやけに重くあまり調子は良くない。とりあえず目を覚ますとまずは朝食を摂ることにする。
朝食はバイキング。ご当地食としてタンシチューがあるのは良いが、品数自体はドーミーにしては少なめ。とりあえず朝からしっかりと腹に入れておくことにする。
朝食を終えると部屋に戻って出かける前にシャワー。これで少し体がシャンとする。どうも昨今は年のせいか朝から体温が上がらない(35度以下の時さえある)変温動物化してきているので、体を温める必要があるようである。
体を温めると外出する。今日は夜に仙台フィルの演奏会があるが、それまでにレンタカーで仙台周辺の山城を回ってから石巻まで足を伸ばす予定。この際に仙台周辺の宿題を一気に片付けようという考えである。当初は石巻まで列車で行くことも考えていたのだが、このご時世下にやはり列車での長距離移動は抵抗があるし、列車なら結果として石巻に行って帰ってくるだけで終わってしまうので、それなら車を借りてついでにいくつかオプションもつけようという考えとなった。そもそもは無難に仙台市内を回っていればよかったのだが、仙台は既に数回目の訪問なので、市内の観光定番コースは完全に回りつくしているうえに、今は仙台市博物館も宮城県美術館もどちらも閉館中であり、行くところがなかったというのが実際である。
松森城(鶴ヶ城)を見学
生憎朝から小雨がぱらつく悪天候の中を最初に向かったのは松森城。仙台北方の山城で国分氏の城郭であった。なお国分氏の出自については藤原氏の流れだとか千葉氏の流れだとか諸説あるらしい。国分氏は伊達氏との絡みが諸々あった後に、国分盛重が伊達政宗と対立、結局盛重は16世紀末に出奔して佐竹氏を頼ることになり、その後は伊達家の支配下に入ったという。なお鶴ヶ城という呼び名もあるのだが、それは本丸と二の丸が鶴翼の形になっていることからだという。江戸時代には仙台藩の正月行事の「野初」という狩猟・軍事訓練の舞台となったとのこと。
今は公園整備されていて格好の花見の舞台でもある。山上に駐車場も整備されているのだが、ここに至るまでの道が狭くて急な上に駐車場も異様に狭い。一応中央通路両側に停車用の区画が描かれているのだが、それが軽自動車でカツカツなぐらい狭い(特に長さがない)ために、フィットの後ろを柵のギリギリまで近づけても(そういう駐車ができるのはさすがにリアモニタの威力)頭が飛び出す状態。今回は生憎の雨とこのご時世下のためか、他に車がいなかったから良かったが、花見客が押しかけたりしていたらかなり嫌なことになるだろうと予測できる。
ここから階段を登っていくだけ。山城攻略というよりも単なる公園の散策である。途中で本丸めぐりコースとの表示があるが、それはとりあえず後回しにする。二の丸との分岐を超えて5分とかからず山頂の本丸に到着する。
本丸はかなりのスペースがあり、今は桜が多く植えられていて満開。桜公園という趣であるが、辺りを見渡せる要害の地であるのは確かであり、裏などは周囲は結構切り立っていてそういう辺りは山城であることをうかがわせる。
この本丸の一段下に広がっているのが二の丸で、この両郭で鶴翼の構えをなしている。この二の丸は奥に深くてなかなかに広い。シンプルな構造の城郭であるが、削平地がかなり大きいので、それなりの規模の城郭であり、国分氏が長年拠点としていたのは理解できる。
降りてくるときには途中で見かけた「本丸めぐり」コースの方を辿って降りてくる。このコースはまさに本丸の周囲をぐるりと回るコースで、本丸周辺が険しさを増すために切岸を削っていること、本丸周辺に出丸になり得るような構造が見られること(鬱蒼としていたので詳細は不明)などが分かる。なお雨で下がぬかるんでいたせいで泥たまりに足を突っ込んで靴が悲惨なことに。
留守氏の居城だった利府城を見学
松森城の次は利府城の見学に向かう。利府城は遠くからでも分かるぐらい山頂が桜に覆われた花見の名所になっている。花見客で混雑していたら嫌だなということが頭を過ぎ鋼亮るが、こちらも平日の昼前でしかも雨ということもあってか車はほとんどおらず、何の問題もなく一番上の駐車場まで到達できる。
利府城はそもそもは留守氏の一族の有力者であった村岡氏の城郭だったという。しかし1569年に留守氏の後継問題が勃発、留守氏の血統を守るべきとする村岡氏は、伊達政景を養子に迎えるべきという伊達派と対立、村岡氏はこの城郭にこもって徹底抗戦したが敗北、留守氏に養子に入った伊達政景が留守政景としてこの地に入り、その時に城名を利府城に改めたという。
駐車場から徒歩5分以内で山頂の利府城跡に到着できる。利府城跡と言っても何があるわけでなく、単に城跡碑の立つ広場があるだけ。今となっては完全にただの桜公園である。もっとも結構な広さがあるので、屋敷などは十分に建てられただろうと思われる。
遺構のようなものはハッキリと残っていないので、城の構造が不明だが、山頂の単郭構造の城ではないかと推測する。もっともそれでも山の高さが結構あるのと、周りが切り立っていることで守備力は決して低くはない。
石巻のまんがロードを散策
利府城の見学後は石巻まで長駆する。元々のプランはこの石巻訪問だった。石巻は石ノ森章太郎の出身地であり、それを記念して石ノ森萬画館が建てられているし、駅からは石ノ森キャラの像を並べたマンガロードなるものがあるという。石巻は以前にこの地域のJR仙石線を視察した時に通過しているだけなので、一度町を見学したいという思いもあった。
生憎と雨が結構降っているが、石巻までは高速を利用するとそう遠くはない。石巻に到着するとまずは駅近くの市役所横の駐車場に車を置くが、この駐車場は中がやけに狭いのにどうやらワクチン接種者用の駐車場になっているようで、多くの車が押しかけて混雑している。特に通路が狭すぎるので、対向車のすれ違いで苦労して大渋滞が起こっている。結局は無事に車を止められるまでに結構な時間を浪費する。
車を置くと駅周辺からマンガロード前半のキャラ像をチェックする。市役所(かつての撤退した百貨店の建物を市役所に流用した模様。一階にイオンが入っている。)の手前にはいきなり仮面ライダーV3が立っているが、よく見慣れたテレビ版のV3でなく、あくまで石ノ森が描いたV3であるのがポイントである。
駅の前の交番にロボット刑事がいるのには驚いたが、駅の前には003フランソワーズが立っている。ちなみに駅の中にも像があるようだが、入場券を買ってまで入る気にもならなかったのでそれはパスした。
からくり時計があったりポストがあったりなど様々存在するが、ロードを少し歩くと出くわすのが、001イワンをかついだ005ジェロニモの像。
その向かいにあるのが008ビュンマでもう少し歩いた角のところには009島村ジョーが立っている。
商店街を歩ていくと004ハインリヒに出くわし、銀行の前には007グレートが立っている。
ここで駐車場まで戻ると車を移動する。市役所の駐車場は1時間まで駐車無料である。この後は商店街中央の立町パーキングに車を移動させる。ここは萬画館に入館すると1時間の無料券をもらえるらしい。
駐車場に車を置いて少し戻った仙台銀行の前にいるのが006張々湖で、萬画館の方に向かって進むとバッタっぽい仮面ライダーに、イナゴっぽいBlackがいる。
ここから南に向かうと趣が変わって佐武と市、さらに猿飛エッちゃんに星の子チョビンといったかなりマイナーキャラが存在する。
で、商業施設前でやけにアートが入った009のブロンズ像に出くわしたあたりで、萬画館に行く前に昼食を摂るべきだということに考え付く。
近くの料亭で昼食
そこで周辺で昼食を摂れそうな店を見渡したところ、路地の中に「料亭 とり文」を見かけたのでランチの「とり文定食(1650円)」を注文する。
料理の品数は多いのだが、味は普通かなという印象。まあ料亭の判断をこの程度の価格の料理でするなということだろう。漁港の町にしては刺身に驚きがなかったのは減点。
石ノ森漫画館を見学
昼食を終えると橋を渡って萬画館へ。萬画館は川の中州にあるのだが、東日本大震災の際は津波が川を遡上し、この建物も大被害を受けたと聞いている。この時にここに建っていた住宅などは全滅したらしい。現在は萬画館以外ほぼ更地になっている。
萬画館の手前に立っているキャラはカラーリングから遠めにイナズマンかと思ったらさにあらず、シージェッター海斗なるキャラらしい。聞いたことのないキャラだと思っていたら、石巻が石ノ森プロの協力で作り上げたローカルヒーローだとか。なお今までどこにも見つからなかった002ジェットはここでようやくお目にかかれる。
さらにここにはこれ以外にもサイクロンに乗った仮面ライダーやロボコンにスカルマンまでいる。
館内は1階が主に物販で、2階が展示室、3階は図書と喫茶になっている。先の津波ではこの1階が泥流と瓦礫の直撃を受けて商品が全滅したのだという。幸いにして原画等の資料類は無事だったのだが、空調が使用不能になったことで湿度管理ができなくなったので、一旦石ノ森プロの方に避難させたとのこと。なお1階のベンチにはさりげなくヒーローが座っている。
2階は各作品の展示がされている。最初は009から始まるが、最初期のモデルなのか色彩から顔立ちまで馴染みのものとは随分違う。
次は仮面ライダーのコーナーだが、ここは石ノ森のものではなくてテレビ化されたものの方で、平成ライダーまでのマスク類が展示されている。こうして見るとやはり平成ライダー以降はライダーからかけ離れた造形になっている。
さらには佐武と市やらキカイダー、さるとびエッちゃんにホテルなど一連の石ノ森の代表作のイメージ展示がなされている。
3階は石ノ森の作品を集めた図書室に喫茶。喫茶で一息も考えたが、時間に余裕がないので先を急ぐことにする。
1階で土産物として仮面ライダークッキーを入手すると萬画館を後にする。とりあえずこれでこの近辺で気にかかっていた宿題は解決である。さてこれからだが、石巻を後にする前に一カ所だけ立ち寄ることにする。
日和山から石巻の海岸を見下ろす
立ち寄ったのは石巻南部に延びている日和山。石巻に到着すると一番最初に目につくのは町の南部にそびえるこの山地である。実際に先の津波ではこの山地が防波堤として津波を防いだことで石巻中心部の被害が阻止されたという。
今は桜公園として花見の名所になっているようで、花見客用の駐車場も確保されている。ただここに到達するまでの道が「マジ?!」と思うほどの急斜面で、車の登坂力の限界に挑戦というイメージ。また雨などで足元が滑ると怖いように思う。
なおここにはかつて石巻城という城郭があったという話もあるが、それもさりなんだろう。地形的には申し分ない。もっとも現在は公園開発されたこともあるのか、遺構の類は全く存在せず、それどころか城跡碑さえない。頂上に存在するのは鹿島神社であるが、安倍のポスターを貼ってあることからろくでもない神社だと推測できるので参拝はやめておく。
唖然とするのはここからの見晴らし。ここから石巻の海岸を一望できるというのはともかくとして、そこに広がる光景が先の津波でもろに壊滅してそれがまだ復興できていない(と言うか、そもそもここに人が住むのは無理だろう)という状況である。
さてこれで石巻での予定は終了である。現在午後3時前。まだ時間がある。そこで仙台に戻ると仙台うみの杜水族館に立ち寄ることにする。
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