徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

関西フィルのデュメイのラストコンサートは流石の名演ぶり

今週もコンサート連荘へ

 この週末も大阪でのコンサートである。金曜日は関西フィルの定期演奏会、土曜日は大フィルで井上道義ファイナルと在阪オケのコンサート連荘となる。

 金曜日の早めに家を出ると新今宮に直行。まずはいつもの定宿ホテルサンプラザANNEX2にチェックインをしてから荷物を置く。部屋は最近利用している和室(と言う名の板張り3畳)。早々と布団を敷くとその上に横になって出かけるまでしばしの休息。正直、最近は体調が良くないので今日も道義ファイナルがなかったらバスしたかもしれない状況。

いつものシンプル和室

 時間になると福島に移動。夕食はとにかく面倒くさいので、いつもの「やまがそば」「そばセット(900円)」。完全にルーティンになってしまっている感がある。もう少しバリエーションの欲しいところではあるが。

いつものそばルーティン

 

 

 とりあえず夕食を腹に入れると開場直後のホールへ。喫茶でコークを頂きながら開演待ちである。思想信条の関係であまりコカ・コーラには加担したくない(あの腐敗オリンピックを協賛するような企業を支援したくない)ので、本来ならペプシコの方が良いんだが、残念ながらあまり選択の余地がないのが現実。

コーヒーを飲む体調ではなかったので・・・

 今回は関西フィルの2025年度のプログラムが配布されていたが、本年度限りでデュメイが契約切れとのことで、音楽監督から名誉指揮者に変更になり、クオクマンがアーティスティック・パートナーとして加わるということらしい。クオクマンはマカオ出身の新進気鋭。私は以前に一度だけ広響の公演で彼の演奏を聞いたことがあるが、その時の評価はクオクマンの才には注目しているが、コンサートの評価的には広響の技術の問題もあって微妙なものになっている。まだまだ未知数の面が大きい若手である。これから関西フィルと共に頭角を現せばハッピーである。

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 デュメイは最近は高齢による故障からの来日中止が多かったことから、まあそろそろ潮時なんだろう。ただ関西フィルをここまで鍛え上げた功績はかなり大きいと感じている。今回はそのデュメイのさよなら公演というわけではないが(来年度にもデュメイの指揮の回が一回ある)、本年度最後のデュメイ公演である。

クリスマスは私には無縁の行事なんだが・・・

本日の演目

 

 

関西フィルハーモニー管弦楽団 第351回定期演奏会

関西フィルはいつもの12型でパーカッション増量

[指揮・ヴァイオリン]:オーギュスタン・デュメイ
[チェロ]マルク・コッペイ
[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団

サン=サーンス:「ミューズと詩人たち」op.132
         チェロ協奏曲 第1番 イ短調 op.33
ラヴェル:「マ・メール・ロワ」組曲
      ボレロ

 デュメイによるフランスプログラムである。

 最初はデュメイとコッペイの二重奏にオケが絡む美しい曲。デュメイの音色については今更なんだが、ここで感心したのがコッペイの音色。恥ずかしながら私はコッペイについては今回初めて知るのだが、その音色の美しさという単純なものでなく、低重心でどっしりと構えながら美しさの影に隠れた微妙なニュアンスなどの奥深さに魅了された。

 これがやはりデュメイの一筋縄ではいかない奥深い音色と絡み合って至高の境地。これにはいきなり魅了されてしまって、うっとりしている間に曲が終わってしまった。

 二曲目はそのコッペイの奥深い音色が主導する華麗にして美麗な曲。デュメイは裏方に回ってコッペイの音色をひたすら盛り上げる。この両巨匠の技が絡み合って圧倒される内容となった。

 コッペイの演奏に魅了された場内は大盛り上がりで、関西フィルの定期にしては珍しいぐらいの収拾のつかないような騒ぎ。コッペイはそれに応えてバッハの無伴奏ソナタを2曲。これがまた今まで聞きなれた感があったあの曲がこうなるかと驚くぐらいの演奏。

 この名演にさらに場内は大盛り上がり。最後は「おいおい、このままだといつ帰らしてもらえるの?」状態になったコッペイが、無理やりにコンマスを連れて行って前半終了である。

 後半はラヴェルの小洒落た小曲2曲。1曲目はラヴェルの名人芸的オーケストレーションも冴え渡るチャーミングな一曲である。デュメイが鍛えた関西フィルアンサンブルが、煌びやかに軽妙に演奏。いつもの渋めのデュメイ節とは異なる味が出ていた。

 ラストはまさにラヴェルのオーケストレーションの妙がすべてという有名曲。関西フィルの管楽陣を中心としたなかなかに艶のある演奏が冴える。デュメイは弦楽陣に艶のあるネットリとしたアンサンブルを鍛え上げたが、その薫陶は管楽陣にも行きわたっていたかと感じさせるところ。そう言えばいずみホールシリーズでは弦楽だけでなく管楽セレナードもやってたっけ。

 普通の演奏だと、ボレロは冒頭からラストまでひたすらクレッシェンドというのが多いのだが、そういう一筋縄で行かないのがデュメイのデュメイたる所以。かなり盛り上がってきたところで、時々ストンと落として表情をつける。こういうクセが強くも洒落っ気があるのがデュメイらしい。最後は大爆音の大盛り上がりとなった。


 演奏開始前に関西フィルのお偉いさんが登場して、今回はデュメイのラストになるので「心して」聞いて欲しいと大見え切っていたが、まあそれに恥じないとというか、流石と思わずにはいられない内容であった。大満足でホールを後にするのである。


 ホールを出るとホテルに直帰する。夕方にそばを食べただけでやや腹が寂しい感もあるが、それよりも疲労の方が濃い。ホテルの部屋に戻ってくるといきなりダウン。組み上げていた仕事環境を使うだけの集中力もなく、入浴に出かけるだけの気力もなく、そのまま早めに意識を失ってしまう。

 

 

この遠征の翌日の記事

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