徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

宇宙兄弟38巻

大団円に向けてまとめに入っているストーリー

 いよいよ話が大詰めになってきたというところ。ムッタ救出作戦も佳境となり、どうやってルナランダーまでビートルで物資を取りに行くかが課題となり、その検討のためのタイガーチームにまさにオールスターキャストで挑むという「燃える」展開。

     

 シミュレーターを使ってのルート開拓は真壁ケンジと新田零次の二人だが、この二人は共に小惑星探査のミッションに参加することになっており、一緒に訓練に励んでいたはず。そういった二人の関係性が互いに「レイ君」「ケンさん」と呼び合っているという細かいところに現れている。ケンジが「ムッタならどう考えるか」というところからアイディアを出しているというところが、二人の関係の深さを感じさせてなかなかジンとくるところ。

 また今までの問題もしっかり回収。ようやく引きこもりから脱した新田の弟の立派な姿は読者としても「良かったな」と言いたくなるところ。またそのことが新田にとって「絶対にこの恩は返さないといけない」という必死な思いにつながっている。最初はどこかムッタに対して敵愾心を見せているところのあった新田が、完全にムッタの仲間になっていることを改めて感じさせる。

 

次々と登場する懐かしのメンバーが気持ちを盛り上げる

 ストーリーが明らかに大団円に向けて一本道になっているから、今までの関係者はオールスターキャストで次々と登場。やはりこういう問題が発生したら出てくる人・ピコの登場もいかにもでファンとしてはうれしいところ。気心の知れたピコとのコンビで、ビンスの方もピッチが上がってくる。

 そして「そう言えばいたな」の紫氏まで登場して、相変わらずの暴れぶり。ただ単なるおちゃらけただけの人ではなく、やるところではキチンとやる人ぶりを見せているのがなかなか。さらには実は「努力する天才」であることもしっかり描いているのが良い。影ではかなり努力しながらも、それを表に見せずにあくまで軽やかにおちゃらけてと言うのが彼の美学であることがよく分かる。

 

そして今回も泣かされました

 そしてあのバナー。ムッタもフィリップもグッときたようだが、実際に読んでいる私にもグッときた。思わず涙が出てきたという、最近年のせいかいささか涙もろくなってきた私。ちなみにこのバナーの内容の詳細は巻末に記載してあります。ムッタは1時間かけてじっくり読んだようですが、10分で読めますので(笑)。そう言えば、そんな人いたなという人も含めてNASA及びJAXA関係者総出演です。メッセージがいちいち、ああこの人らしいなと感じさせるというのが、この作品がキャラクターをよく描けているということ。

 大団円に向けて着実にステップを踏んでいるというところ。いろいろとエピソードに着実に決着をつけて言っているのが感じられる。作者が破壊衝動に駆られて作品をぶち壊すようなよほど馬鹿をしない限りは綺麗なエンドを迎えることになるだろう(実はこの衝動に駆られる作者って意外に多いんです。最後の最後で登場人物全員死亡というオチにしたくなったり、この世界丸ごと実は妄想でしたとかのトンデモオチにしたくなったり。)。まあ万一作者が破壊衝動に駆られたとしても、編集部が止めるでしょうけど(笑)。

 さて次巻辺りでいよいよロシアの救出計画も動き出すだろうから、ヒビトとアズニャンこと吾妻も登場するだろうから、いよいよオールスターキャストが揃っての大団円が見えてきた。後はやっさんがどこで出てくるかだ(笑)。