徒然草枕

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麒麟がくる第41話「月にのぼる者」

秀吉に正面から宣戦布告した光秀

 京を追放されたもののドッコイ生きてた鞆の浦の将軍義昭は、相変わらずあちこちに裏で画策しているようです。光秀は丹波平定で思いの外まだ将軍の権威が残存していることと、それ以上に信長が人心を失いかけていることを痛感するというところから話が始まります。

 そして相変わらず調子の良い秀吉が光秀の元を探りに来たようですが、とうとう光秀は秀吉に真っ正面からケンカを売ったようです。さすがにいきなり平蜘蛛を出してこられたらビビるでしょう。ハッキリと「お前が裏でいろいろと画策しているのは知っているぞ」とぶちまけましたね。さらに「お前はいろいろと信長に讒言して回りの奴を陥れているだろ」とも。前から光秀と秀吉の間は微妙な緊張感を孕んでいましたが、これでついに全面的に敵認定を明言したということになります。秀吉も君側の侫臣って感じが強くなってきました。いよいよ持って本能寺待ったなしの雰囲気が漂い始めています。

 さらには秀吉は女の敵・岡村が密偵だと睨んでいるということを光秀にほのめかしましたね。これを秀吉の「あいつ殺す」メッセージだと受け取った光秀は、これを岡村に告げて岡村退場。このシーンで実に感動的な岡村の棒演技が繰り広げられます。だからなんでこんなのを起用するの? 恐らくNHKに対する功績(チコちゃん絡みだろうな)を考慮しての人事だろうけど、これは完全に大失敗だな。明らかにこの作品の汚点になってるわ。

 

周囲の人望を完全に失っている信長

 で、信長のところで使いっ走りとして使用されている近衛がブウたれてました。ヒストリアで以前紹介していた島津との交渉に走っていたんでしょう。

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 なんだかんだで信長が力は持っているけど回りの人望を決定的に失っているという様をまざまざと描き出しています。しかし完全に舞い上がった厨二男はそういう回りの声が全く聞こえてこない。自分が京での評判が良いと言いきったのは、そういう声しか回りから上がってこなくなっている裸の王様状態になっているのと、既に信長自身が嫌な現実は見る気がないという現実逃避モードにも突入しているのも垣間見えます。舞い上がってしまった厨二的全能感と、初期の頃にしょっちゅう見えていた「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」の本質的マザコン部分が入り乱れていよいよもって制御不能の状態になってきているのが描かれています。

 そして光秀は平蜘蛛を信長に献上して諫める(大胆な歴史捏造だな)。光秀はもっと周囲からの人望を高めて世を平らかにするということを信長に平蜘蛛を通して訴えたのですが、信長はそんな平蜘蛛を売り払うと発言したのは、そんな面倒臭いことは御免だと光秀の讒言を門前払いしたということです。この時の光秀の「ああ、こいつはもうダメだ」という絶望的な表情が全てを物語っています。いよいよもってMK5ならぬMH5(マジで本能寺の5年前)って空気になってきてます。

 

さらに何やら暗躍をし始めた朝廷

 そこに朝廷からの働きかけが来る。光秀は王維の詩を見ていたようですが、王維は権力の動乱に巻き込まれたことから厭世的な雰囲気が強いということ。そこに公家のオッサンは信長の変貌に戸惑って実は距離を置きたくなっている光秀の心情を読み取る。そして帝直々に「月にのぼる者」の話が。つまりは今まで多くの者が権力に魅入られて高く登って行きすぎた挙げ句にそれっきりになったという話。信長も権力に魅入られてしまって完全に変わったんじゃないかということを光秀に伝え、信長の監視を光秀に命じる。いよいよ本能寺への戻れない道に突入してしまった。

 前話で完全に本能寺に向けて進み始めたということを感じたが、今回はいよいよその道が引き返せないものになったことを確信させる内容になってました。次回予告を見ればついに光秀が信長に殴り飛ばされていたようだし、こりゃ後数回で本能寺に突入するようだ。結局は「権力は魔物である」というのがこの作品のテーマか?

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