徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

青天を衝け 第14話「栄一と運命の主君」

一橋家に仕えることになった厨二栄一

 栄一がとうとう一橋家に仕えることになりました。一旦は「我々は志があるから考えさせて欲しい」と引き下がったものの、選択肢なんてもうあるはずもない。おマヌケな喜作は名を残すために犬死にしそうな雰囲気でしたが、栄一の方はさすがにもう少し計算高い(笑)。平四郎はその辺りを読んでいたので、まあ多分仕官するだろうと踏んでいたのだが、その通りに進行・・・と思っていたら、栄一は「仕官の前に殿に自分達の建白を聞いてもらいたい」なんて無茶なことを言い始めて、平四郎は「はぁ?」。こいつら一体どこまで増長するんだってのが本音でしょうね。当時の慶喜は幕府と朝廷の間で板挟みの状態で田舎農民の与太話なんて聞いている暇はない状態。平四郎は「無理」と言うのだが、とにかく無意味に頑固なのが栄一。というわけで、とにかく何とかするという話に。

 さて板挟みの慶喜は解説の家康さんが言うところの「ピンチ」な状態。それにしても北大路欣也の無駄遣い、とうとう家康という設定まで必要がなくなってきた。栄一と喜作がやりとりしていた時に、喜作が「お前、まさかチャンスだと考えてるんじゃないだろうな」と言いそうな雰囲気でしたが、さすがに「胸がゾワゾワする」とかいうような表現をとってました。まあその程度は気を使うかと思っていた矢先に、家康が「ピンチ」ですから、本当にこの作品って何をしたいのか分からない。

 

そしてようやく第1話に戻る

 で、平四郎が練った策が、「いきなり会ってくれなんて到底無理だから、とにかくどんな方法でも良いから名前を知ってもらえ」ということで、慶喜が乗馬で走るコースを教える・・・ということで、ここでようやく作品第1話冒頭に登場したシーンにつながるということになったようです。長かったな・・・。とりあえず慶喜が興味を持ってくれたことで面会が実現、栄一はそこで「幕府はもう限界」とか「一橋家が強くなって天下を取る」とか厨二丸出しの自説を開陳することに。黙って聞いていた慶喜であるが、後で平四郎に「特に目新しいものはなかった」という評価。つまりは栄一の厨二構想なんて、慶喜にとっては改めて言われるまでもなく、あっちこっちから突き上げ食らっている内容ってこと。この辺りで視聴者には「厨二栄一の限界」をハッキリと見せつけます。まあ栄一自身もその後に平四郎から現在の状況を教えられて「攘夷はもうオワコン」ってことを言われて(さすがにオワコンとは言ってませんが)、田舎者の天下知らずだったことを思い知ることに。

 

「慶喜、キレる」

 しかし番組ではこの栄一の厨二っぷりが慶喜に影響を与えてしまったのではって展開にしてます。やっぱり主人公アゲは大河には不可欠ってことでしょうか。島津久光と対立を深めていた慶喜、それまで何だかんだと久光の嫌みをかわしていたのですが、久光から賄賂受け取っていた中川宮に対してもろに脅しをかけた上に、久光のことを「天下の大悪党」と名指しするという完全に宣戦布告をぶちかましてしまう。結局はこれで薩摩藩との対立が不可避に。参与会議がこれで完全に崩壊してしまって薩摩は長州に接近することになるので、この時の慶喜の行為は「ストレス溜まりすぎた挙げ句に、酒の勢いでご乱心」ってのが一般的な歴史的評価なのであるが、どうやらこの番組では栄一の厨二っぷりに触発された慶喜が「ついにやってやった」という快挙の扱い。うーん、この辺り、この番組の歴史解釈は大丈夫か? 松平春嶽が「こんなのどうしてくれるねん?」って感じで間でオロオロしてましたが、プッツンした慶喜に振り回される損な役回りになってしまってます。親父の斉昭は阿部正弘を過労死させたが、息子は春嶽を病気にしちまいそう。それに慶喜が草薙剛だけに、酔っ払って裸になって走り回らないか心配になった(笑)。

 というわけでは今回のタイトルは「慶喜、キレる」の方が妥当でしょうね。それにしてもこの作品、先に井伊直弼の描き方が大概ひどかったですが、今回も島津久光の描き方が大概ですね。あれだと単に腹黒くて嫌らしい野心だけがある小者。紛いなりにも薩摩の名君の一人と言われている人物なのですが・・・。まあ西郷を島流しにしたりと西郷とは相性が悪かったので、西郷ファンからは「無能、田舎者、陰険、兄と違って不肖の弟」とボロクソの評価されていたりはしますが。客観的に見ると、確かに斉彬には遠く及ばないが、幕末の動乱期を乗り切った人物としては十二分に有能と見て良い人物だと思いますが。なんかこの作品、井伊の彦根に次いで、次は鹿児島と、何やら無駄にあちこちにケンカを売っているような気も。まさかこの後は逆に、安倍に忖度して長州テロリスト軍団を過剰に美化するようなことをしないだろうな?

 

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