徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

さらばau

結局はワイモバイルに乗り換えることとなった

 povoに端を発したauとの昨日のドタバタは結局は一日では決着が付かず、今日まで持ち越すこととなった。結論としては、既に怒り心頭の私は長年使用し続けてきたauとの決別を決心し、今日の内にワイモバイルと契約することになった。三太郎からお犬様への乗り換えである。そこに至った経緯を紹介しておく。

昨日のまとめ

昨日のトラブルは、


1.povoのICカードが到着したので切り替え手続きをしようとするが、暗証番号で引っかかりオペレーターに回される。


2.30分弱待たされて出て来たオペレーターは「auショップに行って暗証番号変更をしてくれ」。


3.auショップに行くと「手続きの途中になっているから暗証番号変更は出来ない」


4.再びpovoに電話する(1時間弱つながらない)と「切り替え手続き中になっている」「一旦申し込みをキャンセルしてくれ」「キャンセルはHPのチャットから申し込んでくれ」


5.HPのチャットはAI自動応答で全く要領を得ない。苦労してようやくたどり着いた手続きの項目は「オンラインでは手続きを出来ないから電話をかけてくれ」


という不愉快かつふざけた内容であった。正直なところこの時点で怒り心頭で、既に内心ではauに見切りをつけてしまった。そこで今日である。

 

昨日の手続きをまだ引きずる

 情けないことであるが、昨晩は腹の底から沸々とこみ上げる怒りのせいでなかなか寝付けず、今日はかなり寝不足の状態である。正直なところ昼休みは昼寝でもしたかったのだが、そんなことをしていると事態の決着がドンドンと遅れてしまう。そこで昼休みに昨晩調べた電話番号に電話する。これまでの経緯を伝えてキャンセルの旨を伝えると「その手続きはここの番号と違うので、チャットから別の番号にかけてくれ」もうこの時点で「はぁ?」である。どうやらpovoのサポートは組織としてまるで機能していないド素人集団であるようである。キレかける頭を冷やして再びマヌケなチャットを相手に奮闘、何とかたどり着いた電話番号に電話すると例によって全く要領を得ない回答。もうこれで完全に心が決まってしまったので、「とにかくキャンセル手続きをしろ。それからもうソフトバンクにでも乗り換えることに決めたから、そのためには暗証番号の変更手続きはいるのか?」となるべく冷静な声で聞いたところ「auショップに行って手続きをする必要がある」との回答。昨日の時点で怒り心頭を通り越してしまっているので、ここまで来ると逆に完全に馬鹿らしくなってしまって意外と冷静になった自分に驚き。私はサポートダイヤルなどで「責任者を出せ!!」などと叫ぶ奴は単に暇なクレーマーだと思っていたが、どうやらそうではないということを今回つくづく痛感した。正直なところ「お前らでは話が分からん、話が通じる奴を出せ!」と言いたかったが、恐らくそもそも話が通じる者など誰もいないのだろうと諦めた。

 結局、仕事終了後に再びauショップに行って暗証番号変更の手続きをする。が、どうも出来ない模様。しかも「機種変更を申し込まれていますか?」というトンチンカンなことを言われる。私は自分のiPhone7を使用するので機種変更なんて当然ながら申し込んだこともない。その旨を伝えるとどこやらにゴチョゴチョと電話している。その結果「キャンセルは確かにされているのだが、それが反映されるのが明日になるので、現時点では暗証番号の変更手続きは出来ない」とのこと。

 

auとの決別を告げる

 この時点でauのシステムが救いようのないクソであることを確信。こんな会社と今後関わり合いを持つことは有害無益であるという判断をせざるを得なくなる。正直なところの感情は、目の前の奴に怒鳴り散らして店内で大暴れしたぐらいの気持ちだが、さすがに私も、今目の前にいる奴が悪いわけでなくて、クソなのはauの会社であるということをわきまえる程度の分別は持っている。そこで努めて冷静に「これだけコケにされ続けると、もうauにはホトホト愛想が尽きたので、今日この足でそのままソフトバンクに行きたい。切り替えに必要な手続きは直ちに出来るか。」と聞く。担当の兄ちゃんも「お怒りはごもっともです」MNPの予約番号なるものを発行してくれた。暗証番号がロックされているので私の側からは何も出来ない状態だが、この予約番号は発行できる状態になっていたとのこと。なお「切り替えるなら5月になってしまうとまる1月分の料金がかかることになるから、今月中に手続きをしてしまった方が良い」とのアドバイスまでくれた。

 で、結局はその足でそのままソフトバンクに出向き、料金プランの説明を聞いてから(何しろソフトバンクのプランなんて全然知らなかった)、私の使用状況に一番マッチしているプランとしてワイモバイルのMプランを即日契約した次第。

 かれこれ10年近くはauを使い続けてきたのであるが、これで私は完全にauと縁を切ることになったのである。単に窓口担当の誰かが不快だったというレベルなら私もここまではしないのだが、今回のような非常識というレベルを超えて完全にシステムが破綻しているとしか感じられないトラブルは、auという会社に対する信頼を根底から覆すのには十分であった。改めて言う。「さらばau。私は二度と戻っては来ないだろう。」

 

auのpovoがひどすぎる

 今まで携帯は長年auだったので、この春からpovoに切り替えようとしたのだが、あまりにも対応が滅茶苦茶で振り回されたのでその詳細を記しておく。

切り替え手続きの途中で立ち往生

 4月に申し込もうとしたら、どうやら私のiPhone7はICカードを差し替える必要があるとのことなので、申し込みはしばし待ってくれとHPに記載してあった(今から思えばこの頃からいかにもドタバタしているという嫌な予感がした)ので、先週になってようやく申し込んだ。

 で、本日ICカードが届いたので早速手続きを開始。添付文書にあった回線切り替えの電話番号に電話して手続きを開始、電話番号を入力した後で暗証番号を求められる。多分、これだと思う番号を入力したのだが、「お客様を確認できません」との自動応答、ここから延々とオペレーターを待たされる(その間30分弱)。ようやくオペレーターにつながったので、暗証番号で拒絶された旨を伝えると、どうやら暗証番号が違っているからロックされているのでauショップに行って暗証番号変更の手続きをしてくれという話。

立ち往生の挙げ句のたらい回し

 もうこの時点で「はぁ?」だったんだが、仕方なくauショップに車を飛ばして暗証番号の変更手続きをしようとしたら、「何かの手続きが途中になっているので、こちらからは何も出来ないから向こうに言って手続きを終了してくれ」という回答。もうこの時点で頭の血管が切れそうになる。

 やむなくもう一度povoの手続きの番号にかけて、延々待った挙げ句(1時間弱)、auショップで言われたことを伝えたら、調べてみるとさらに数分待たされる。その挙げ句の回答が、povoの申し込みの手続きの途中になっているのでそれを取り消してくれとのこと。じゃあ取り消してくださいと言ったら、HPのチャットから申し込んでくれとのこと。ところでそれは最初から手続きを取り消すと言うことになるのなら、今送られてきているICカードはどうなるのか聞いたら「それは分からないからチャットで聞いてくれ」との回答。

 で、仕方ないのでHPの申し込みページを見たら確かにチャットがあるが、これがコンピューターによる自動回答なので全く要領を得ず、なかなか申し込みの取り消し手続きにたどり着かない。あちこち調べまくってようやくたどり着いたと思えば、「オンライン手続きは出来ない」という記述。電話で申し込んでくれとのこと。

つまりはソフトバンクにでも乗り換えろということのようだ

 どうやら分かったのは、povoの窓口は何も知らない素人しかいないということ。さらにauは本音としてpovoを使って欲しくないらしいことも良く分かった。どうやら今回のauの対応は「ソフトバンクにでも乗り換えろ」という意味なんだろう。今まで長年auを使用してきたが特にメリットは無かったし、さすがに今回の件はほとほと愛想が尽きた。

 

疲労の溜まった時には焼き牡蠣で回復を

牡蠣街道まで生牡蠣の仕入れに出向く

 昨日は大阪まで日帰りの長距離移動してきたせいで、今日も身体に疲れが残っている上に身体のあちこちに痛みがある。そこで「体調不調の時は焼き牡蠣ドーピング」。

 考えてみれば毎年このシーズンになると御津から日生にかけての牡蠣漁港が連なる別名「牡蠣街道」まで生牡蠣を仕入れに行っていたのだが、今年はコロナの影響によるお籠もりのせいで全く出かけていなかった。そこで久しぶりに牡蠣街道の途中の室津漁港まで牡蠣を仕入れに行くことにする。

 昼前に家を出ての長駆のドライブだが、通称牡蠣街道こと七曲がりの国道250号線は車が連なっている。途中の道の駅みつは第三駐車場まで車があふれかえっている状況。コロナの緊急事態宣言などどこ吹く風の大繁盛である。そこを通り過ぎて七曲がりを進むことしばし、ようやく室津漁港に到着する。

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室津漁港に到着

 

牡蠣のメッカの室津漁港で殻付き牡蠣を購入

 ここには多くの牡蠣を扱う店が並んでいるが、私がいつも立ち寄るのは津田正水産。通常なら店頭で牡蠣の試食があるのだが、今年はコロナの影響か各店ともそれは密を避けて自粛している模様。

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津田正水産

 私が毎回ここに立ち寄る理由はここでは「牡蠣の沖煮」が美味であるから。

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牡蠣の沖煮

 とりあえず沖煮2つと殻付き牡蠣2キロを購入して帰る。ちなみにこの辺りの現地で購入する場合、殻付き牡蠣については1キロ900円が相場となっている。

 

帰宅すると焼き牡蠣を作ることに

 帰宅すると早速調理。新鮮な殻付き牡蠣を焼き牡蠣で頂くことにしたい。焼き牡蠣の作り方については試行錯誤もあったのが、現在の私はフライパンを使った蒸し焼きを行っている。いろいろ試した結果、これが一番手軽でかつ美味しく出来ると判断した次第。まず取り出してくるのは焼き牡蠣専用フライパン。フライパンを空だきするような形になるので、テフロン加工のフライパンだとはげて傷んでしまうので、既にテフロンがはげた廃棄になるところだったフライパンを流用している。何だかんだでこれも数年使い込んだ年代物となっている。

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我が家の焼き牡蠣専用フライパン

 ここに簡単に水洗いした牡蠣を並べる。この時に私は丸い方を下にして並べている。

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牡蠣を並べる

 

フライパンでひたすら蒸し焼きにするだけ

 そのまま蓋をして強火で加熱するだけである。なお貝自体が海水を取り込んでいるので特に水を入れる必要はないが、あまりにフライパン内がカラカラのようなら少しだけ水を入れる。

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そのまま蓋をして強火でひたすら加熱

 すぐにフライパンの中が蒸気蒸しの状態になるのでしばらく加熱。

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すぐに牡蠣から海水が出て来て蒸し焼きになる

 

貝が口を開いたらできあがり

 開けてみて口の開いている貝があったらできあがりである。この間、ザッと数分である。加熱用牡蠣なのでよく火を通す必要はあるが、加熱しすぎると固くなる。なお口の開いている貝が出てくると言うことは中まで火が通っている証拠。なお牡蠣には生食用もあるが、最初から焼き牡蠣で食べる場合は加熱調理用の方が美味いのでそちらをお勧めする。生食用は生食のために餌の少ない清浄な海域で無理矢理に育てているので、味自体は加熱調理用に劣るのは常識となっている。

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焼き上がった牡蠣

 出来上がった牡蠣をトングで取ると、ここで必要となるのは牡蠣ナイフ。日生などの現地に行くと必ず販売しているが、今はAmazonでも購入可能。私も現地で購入したものを2本所持している。

     
牡蠣ナイフはAmazonでも販売している

 これを貝殻の隙間から押し込んで、中の貝柱を切断したらパカッと貝殻が開く。この際に貝殻の中に熱い汁が溜まっていることが多いので、火傷をしないように注意。よく牡蠣小屋などでは軍手を使うが、汁が出て来た時は軍手をしていると熱い汁が浸みてかえって火傷をすることがあるので注意。フライパンから出すと蠣殻の方はすぐに冷めてくるので私はいつも素手で作業している。

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私の愛用している牡蠣ナイフ

 

濃厚な牡蠣が抜群の滋養強壮効果

 こうして殻を開けると中からはプリプリの身が。好みで醤油、ポン酢、レモン汁などを垂らしても良いが、私はいつもこのまま頂いている。牡蠣の濃厚な風味が実に美味で、身体の底から力が湧いてくる気がする。経験上、今までどんな薬よりもこれが一番滋養強壮効果が強いのを実感している。

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プリプリの身を頂く

 なお私はいつも室津漁港まで長駆ドライブをしてますが、通販もあるようですね。遠距離の場合はガソリン代と労力を考えるとこれを利用するのも手ですね。ちなみに結構遠距離ナンバーの車も見かけます(名古屋ナンバーなんかもいた)。

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兵庫県播州室津産 生食用 殻つき牡蠣3kg
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室津漁港の殻付き牡蠣は楽天市場でも販売されているようです

 

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津田正水産の「沖煮」を含む商品詰め合わせはふるさと納税品でもあるようです

麒麟がくる第39話「本願寺を叩け」

本願寺相手に大苦戦の信長

 信長軍、本願寺を相手に苦戦中。帝が気にしているの一言でぶち切れた厨二男は暴走して本願寺勢の銃の的に。光秀が必死で諫めている背後で、松永久秀の「もうこいつはダメだな」という冷たい視線が。もう松永は明日にでも信長を裏切りそうな雰囲気ですが、どうやら来週に裏切るようです(笑)。既に暴走する厨二男は光秀でさえも制御不能に。着実に本能寺への道が舗装されつつあります。

 それにしても合戦シーンがかなりショボくなっており、ここのところの一連の合戦もナレーションとアニメーションだけで終わらせることが多くなっています。序盤にオープンセットの岐阜城でのドローンによる空撮とか予算をかけすぎて予算切れになったのか、コロナの影響でエキストラを大規模に動員した撮影が出来なくなったのか(多分こっちが大きいんだと思うが)。まあそれなりに合戦らしい合戦をしていたのは桶狭間までですね。何しろナマ倉義景の最後までナレ死に毛が生えた程度でしたし、将軍様に至っては何やら見慣れた屋内セットの中で藤吉郎にふん縛られただけでしたから。

 ところで本願寺勢は実際にかなり強かったようです。特に本願寺には日本最強の傭兵集団である雑賀衆が荷担しておりました。雑賀衆の鉄砲隊は恐らく当時の日本で最強です。これが豊富な武器弾薬を抱えて、実質的に堅固な城塞である本願寺に立て籠もっているわけですから、攻め手もちょっとやそっとでは落とせません。しかも背後では一向宗門徒のゲリラ部隊もジハードしてましたし。さらに信長がぶち切れていたように、臣下の中にも本音では本願寺と争いたくない奴もいました。だから信長にとっても実は本願寺との戦いが一番ハードな戦いだったと思われます。

 そして光秀は心労・過労・戦の傷などが複合してぶっ倒れてしまう。何とか回復したものの、入れ替わりで熙子が倒れてそのまま帰らぬ人に・・・って今回はそれだけしか内容がなかったな。ちなみに光秀が病気でぶっ倒れたのは史実で、それを看病していた熙子が看病疲れか病気になって亡くなるのも史実です。ちなみに光秀は最愛の妻を失ったショックで一気に認知症が進んだなんて説までありますが、まさか本作はこの説ではないでしょう。

 

段々とトンデモ化していく信長

 信長はヒステリーだったと言われていますが、本作品の信長も見事にヒステリー発作を起こしてます。しかしさらにタチが悪いのは、単なるヒステリーだけでなく、そこに厨二臭がプンプンと漂っていること。「お前らの弾なんか当たるか!」「バーン」「やられた」ではまるっきりギャグです。まあ雑賀衆の鉄砲の腕前を考えたら、本当にあんなことをしたらあの時点で「NHK大河ドラマ織田信長 完」です。史実で信長が実際に足に流れ弾を受けて負傷したという記録があることを反映してでしょうが、実際はあそこまで厨二ではありません(笑)。

 なお信長は毛利からの物資補給を断ったら本願寺に勝てると勢い込んでましたが、そうやって動員した九鬼水軍は初戦でものの見事に毛利水軍の焙烙玉の前に粉砕されてしまうので、また再び信長がぶち切れることになるだろうと推測されます(恐らく合戦自体はナレーションだけで片付けるだろうな)。

 それにしても信長が段々とトンデモになっていきます。比叡山の描き方からも明らかなように、本作は「主人公と敵対するような奴は、討伐されても当然なトンデモな奴」という描き方で一貫するという方針が見えています。ですから焼き討ちを食らった比叡山は徹底して「あんなトンデモ集団は焼き討ちされて当然なんだ」という描き方を執拗にされていました。

 また将軍についても、いずれは光秀は離反するというのが確定していたので、最初はそれなりに「良い人」だったのが、段々と馬鹿殿っぷりがひどくなっていき、とうとう最後には「そりゃ光秀が見切りを付けるのも当たり前の馬鹿殿」状態になっていました。

 このパターンから行けば、いずれ信長も「そりゃ、本能寺で討たれて当たり前の手のつけられない厨二男」という流れになるんではという予感が強烈にしているところです。

 

年始の怪しいドラマ「ライジング若冲」なかなか面白かった

全編に漂う強烈なBL要素は何なんだろう?

 正直なところ特に見るつもりがなかったのが、ザッピングしていたところたまたま放送していたこれを見つけて軽く見始めたのだが、案に反してなかなかに面白かったので見入ってしまった。

 要は若冲が大作「動植綵絵(どうしょくさいえ)」を描くに至った経緯を大胆なドラマで表現しているのだが、若冲がこの作品を描くに至ったのは相国寺の僧侶・大典との深い友情がその根底にあるというドラマ。ただこの二人の関係が深い友情と言うよりはあからさまに深い愛情。男同士が手を取り合って見つめ合っているようなシーンが結構あり、「オイオイ大丈夫かNHK、正月からこんなもの流して」という雰囲気である。

     
若冲の作品に興味のある方にはこういう本があります

 もっともこういうBL的な雰囲気というのはNHKでは初めてではなく、かつて大河ドラマ「平清盛」でも前半にもろに登場しており、その時は腐女子中心に異様に世間が盛り上がっていた。しかしその盛り上がりすぎにNHKがひるんだのか、普通の歴史ドラマになってしまった途端に視聴率も人気も急落して、歴代ワーストというところまで行ってしまったなんてこともあった。

 なお「西郷どん」では脚本が恋愛小説専門の林真理子だっただけに、最初から意図的にそういう要素を取り込んだそうだが、元々の話自体が駄目すぎたせいでそこまで行く前に作品自体がずっこけてしまっている(あまりにひどすきで、私は第一話で見切りを付けた)。

 

中村七之助を起用したせいか、妙に乙女な若冲

 若冲を演じているのが歌舞伎の中村七之助ということもあって、細かい挙措のところどころに女っぽさが出てしまって、そのことが余計に二人の関係の怪しさを匂わせるようなところがある(笑)。旅に出る大典に対して「必ず帰ってきてくれ」と言ってから別れるシーンがあるのだが、この時の見つめ合う姿が完全に「愛し合う二人」になっている上に、大典を残して一人石段を降りていくシーンの若冲の挙措が完全に女性のそれであり、妙にナヨイ若冲になっていた感はある。

 そして3年+3年後、ついに動植綵絵が完成して、相国寺に戻ってきた大典に披露するのであるが、このシーンが美しすぎて完全にクリスマスナイトのカップルの状態(笑)。大典の永山瑛太がグラスをかざして「君の瞳に乾杯」とか言い出しそうだった(笑)。最後に33幅の内で仏に捧げるのは31幅で、最後の2幅はあなたに捧げると雁の図と鳳凰の図を示し、この絵は対になっていて雁はあなたでそれを迎える鳳凰は私だと言い出した時には、あまりにストレートすぎて流石に背筋がゾワゾワとなった(笑)。そもそも若冲の鳳凰の絵って、ハートマークが飛びまくっているものだし(笑)。最後のシーンなんて船の上で大典がなぜか乙女な若冲の手を取るという意味深すぎるシーン。

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ハートマークが飛び交っている若冲の鳳凰

 

しかし実は各絵師の特徴も良く捉えている

 と言うわけでどうしてもBL要素に目が行ってしまう腐女子ドラマのようにも思えるのだが、同時代にライバル関係にあった池大雅や円山応挙なんかも登場して三者三様の様子を紹介しているところなんかがなかなかに面白かった。いかにも風来坊的な池大雅とか、若冲をもろにライバル視して火花を散らす円山応挙なんてのは楽しい内容。三人で写生に出かけた時なんかも、いかにも自由な絵を描いている池大雅に、子犬のスケッチをしている円山応挙、そして植物と虫を凝視している若冲なんてのはもろに彼らの作品を意識していて、美術のことを一渡り勉強したスタッフがドラマを製作したのだなということを覗わせる。

 そして最後には絵師番付の一位になり、ようやく若冲に勝ったと多くの弟子達の前で狂喜する円山応挙に対し、一応順位が気にならないわけではないが、まあそんなもの特にどうでも良いかという風情の若冲なんてのも、うん、こいつらはこういうタイプかもと妙に納得できるところがあった。なお長沢芦雪のファンでもある私としては、円山応挙の弟子達が出て来た時に、こいつが後の長沢芦雪だと分かる1シーンでもあれば完璧だったが(笑)。

 それにしてもこの時代って、実際にこの3人が京でしのぎを削っていたわけである。考えてみればまさに文化が爛熟したいかにも贅沢な時代だったんだなと溜息の出る次第。なお若冲は一番年長なのだが、一番最後に没している。

 なお1/16の夜9時からBSプレミアムで「完全版」が放送されるとのことなので、若冲に興味のある方なら、BL要素は絶対駄目という方以外にはお勧めします(笑)。

     
伝記なども含めて総合的に若冲を知りたい方はこちらを

 

ベルリンフィルからの贈り物

国際郵便で小包が到着

 年末の慌ただしい中に突然に国際郵便が送られてくるからなんだと思ったら、ベルリンフィルデジタルコンサートホールの年間チケット購入特典のDVD及びBDが送られてきたようである。1年間どうせダラダラと月極契約を続けるのだったらこっちの方が安いから私は申し込んだんだが、正直なところ申し込んだことを既に忘れていた(笑)。

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立派な箱入り

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ペトレンコのジャケット

 一度は通常通りに観客を入れてのコンサートが可能となっていたベルリンフィルも、その後のドイツのコロナ感染状況の悪化で再び無観客コンサート状態に戻ってしまったようだから、ライブ配信部門の収益強化のために打ち出した策だろう。しかし予想以上に申込者が多かったのか、当初は来年1/4までと言っていた締め切りがかなり繰り上げになったようである。

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DVD2枚とBD1枚

 まあディスクの内容は昨シーズンのコロナ自粛期間中に行われたペトレンコライブでの室内楽版マーラー交響曲第4番とかのものであり、これらはネットでも配信されている内容なので正直なところ特別なありがたみはない(笑)。こんな立派な箱に入って送ってきたので高級感があるだけ(笑)。何か早速メルカリやらヤフオクやらに出品する輩も登場しそうな気がする。私は一応記念に取っておきますが。

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BDの開始画面

 

この手の取り組みは日本のオケも強化するべきでは

 さすがにベルリンフィルぐらいになるとネット配信でもそれなりの顧客を集めることが出来るので、こういう方式も成り立つということだろう。日本のオケも収益強化の一環として取り組んでもらいたいところだが、残念ながら日本のオケで世界マーケットをターゲットに商売できるところはまずないから、市場が国内に限られて市場規模のショボさを考えるとインフラ投資する気さえ起こらないか。

 単独オケで難しいのなら、例えば関西オケ連盟とか、東京弱小オケ連盟(N響とか読響とかは自身で配信できるインフラがあるはずだから)とかで取り組むことは出来ないんだろうか? 現在の状況を見ていたら、意外と地方の山形交響楽団なんかがカーテンコールと組んで一番早く実施するかも・・・。実際にこういう取り組みが進めば、例えば関西在住の私でも札幌交響楽団の定期演奏会を聴くなんてことが可能になる。これはオケもファン層を広げるという意味で有効。またオケとして気になるのは、今までのファン層が「ネット配信があるんだったらそっちで良いわ」とコンサートに来なくなる懸念だろうが、ネット配信は缶詰のようなものだから、「缶詰が美味しいからレストランに行く必要がない」なんて者はそう多くないと私は推測している。

 なお私が聴きに行った10/20の大フィルのチャイコチクルスI、8/23のチャイコチクルスIIが現在カーテンコールで無料配信されているようである。

curtaincall.media

 

2020年度クラシックライブベスト

 さて、2020年度終了に際しての本年度のベストライブ・・・と言いたいところだが、今年はコロナでコンサートは壊滅的状況。国内オケでさえ春から夏にかけてはコンサートが出来ない状態で、それがフル編成でようやく開催可能となったのは冬になった頃という状況、来日オケに至っては本年度はコロナ騒動前の1月に来日したフィルハーモニア管と11月にほとんど奇跡のように公演を実施したウィーンフィルの2つのみという状況。当然のように今期はまともなチョイスにはなりようがないという悲しいところです。

 

 

ベストライブ

 そんな中で強引に選択すると、実質的にウィーンフィルのぶっちぎりにならざるを得ない状況があります。とは言え、本年の2件は例年のベストライブと比較しても決して遜色のあるものではありません。

第2位
エサ=ペッカ・サロネン指揮 フィルハーモニア管弦楽団

 とにかく野生の雄叫びのような「春の祭典」が見事すぎた。圧倒的なパワーなのだが、それが決して雑にはならないという技量の高さに驚かされた次第。ドッシリとした安定感と漲る緊張感の中で繰り広げられるサウンドスペクタクルにはただただ呆然とするばかりであった。また庄司のヴァイオリンの妙技についてもまさに圧巻であった。場内も珍しいぐらいの大盛り上がりで、春先からこんな名演が飛び出すとは今年も春から幸先が良いと、その後の名演続出に期待したのであるが・・・。

第1位
ワレリー・ゲルギエフ指揮 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 まちがいなく中止だと思っていたのだが、まさかの公演実施には驚かされた。しかしこの異常な事態の中でウィーンフィルもゲルギエフも並々ならぬ気合いが入っていたことがビンビンと伝わってきた。以前より何かと「手抜き」が言われることの多いゲルギエフとウィーンフィルなんだが、彼らの本気モードはこんなにもすごいのかと圧倒された。「悲愴」の圧倒的な美しさは従来の概念を覆すような感動的なものであり、心の底から揺さぶられた。またマツーエフのピアノの美しさも極めて印象的であった。単に今年のナンバー1というだけでなく、文句なく私が今まで聴いたウィーンフィルのライブの中でもぶっちぎりのナンバー1であった。

 

 

ワーストライブ

 今年はこういう状況ですので、あえてワーストとして上げるほどの迷演はありません。ただそんな中でワーストとはまた異なるニュアンスのものとして番外編を一つ挙げておきます。

番外
小林研一郎指揮 読売日本交響楽団

 コテコテのコバケン演歌むき出しの「英雄」だったんだが、これがどうしてどうして、ややゲテモノ感はあるものの意外に面白い演奏だった。特に第二楽章のこぶしの回った(ように聞こえてしまう)葬送演歌はまさにコバケン節の神髄であった。正直なところコテコテのコバケン演歌は私は得意ではなかったのだが、この公演の前の大フィルとの「マンフレッド交響曲」といい、曲によっては意外にはまる(ただしベートーヴェンの4番に関しては「?」だったが)ということに気づいた次第。


 以上のように今期はとにかく公演の絶対数が少なすぎるのでまともな選定とはなっていない。しかし上記の2公演共に、例年のベスト5に並んでも何ら遜色のないレベルの公演であるので、その点についてはありがたいところであった。

 

 

2021年度ベストライブはこちら

www.ksagi.work

2019年度ベストライブはこちら

www.ksagi.work

麒麟がくる第38話「丹波攻略命令」

あっさりと退場する三淵藤英

 光秀の元に預けられていた三淵藤英に対して、信長が書状一枚で「即刻切腹させろ」との指示。さすがに元同僚に対して後ろめたさを感じる光秀だが、三淵藤英は「いや、もう分かってたから今更ジタバタ見苦しいことはしない」とあっさりと切腹。「自分は幕府の家臣となった以上、そこから変わるような器用さはなかった」という類いの事を言っていたが、これはある意味ではちゃっかりと寝返った弟やら光秀に対する当てこすりでもある。この辺りが光秀には実は地味にダメージ与えている。

 

光秀と信長の間に漂い始めている微妙な空気

 で、光秀は藤孝と共に信長の家臣として三好討伐。そして帰ってきたと思ったら、稲葉一鉄の元から逃げ出した斉藤利三(春日局の親父ですね)が「あんな暴君のために命賭ける気にならないから雇って欲しい」と逃げ出してきている。ちなみにこれ、史実では光秀がスカウトしたと言われてるんだけど真相は不明。ただ浪人上がりでそもそも家臣団的なものがなかっただろう光秀が、人材登用に必死だったのは容易に推測でき、斉藤利三をヘッドハントした可能性はかなりある。とにかくこれに対して信長は「稲葉に返せ」と言ったのも史実のようだが、光秀はそれを頑として拒絶したらしい。

 その時に信長がぶち切れて光秀に暴力をふるったという話もあって、それが光秀にとって怨恨となって本能寺につながったという説もある。しかしこの番組の厨二信長は、確かにブチ切れはしたんだがすぐに思い直して光秀に媚びを売っている。さすがにまだ光秀に本気でケンカ売る度胸はないらしい。ただ段々と光秀にとっても信長がアンコントロールになりつつあるのを匂わせている。舞い上がってしまった厨二男はかなりタチが悪いようである。着々と本能寺への布石が打たれている。目下のところ、信長に諫言できる存在は光秀だけって状態になってるんだが、信長が全く頭の上がらない帰蝶様はどうなったんだ?

 

本能寺の原因にはどの説を採る気なんだろう?

 そして信長から丹波攻略を命じられる光秀だが、これが実は難題。番組でも言っていたがこれが非常に長い戦いとなり、しかもその間にも信長から「石山本願寺攻めにも協力しろ」「中国方面に行っているサルを助けろ」と無茶ぶりされまくって、挙げ句に過労でぶっ倒れたり、光秀の看病疲れで熙子が病気になって死んでしまったりなどいろいろあります。信長のあまりの人使いの荒さに段々と不満が募ってきて・・・って展開に持ってくるのかな。

 ただここに来て厨二信長に愛想を尽かせ始めている玉三郎が、光秀を上手く使ってやろうという意図を見せ始めているので、こういう朝廷絡みのしがらみも光秀を本能寺に向かわせた背景として登場する可能性あり。いろは大夫に顎で使われていたパシリ関白もまた話にかんでくるようだし。

 さらには宣教師たちも登場した。本能寺の変の背景としては、怨恨説、野望説、朝廷黒幕説、イエズス会黒幕説、対長宗我部政策の食い違い説などなど諸説ありますが、この番組ではどれを本命として持ってくるのかは今ひとつ不明。今のところもしかして全部ぶっ込んでくるつもりなのではなんて気までする。なお最近では「完全に旧来社会をぶち壊した新秩序を目指していた信長と、幕府を中心とした旧来型秩序を目指していた光秀のグランドデザインの相違説」なんてのもある。光秀がやたらに「麒麟がくる世」を繰り返していることと、光秀と幕府との関わりをかなり前から細かく描いている(記録が残っていない時代にまでわざわざ光秀と幕府との関わりがあったことにしている)ことを考えると、私はこれが本命なのかという気はしているが。

 もっともこの作品の信長を見ていると、「完全に舞い上がった厨二病男の暴走を持て余した挙げ句、見るに見かねて泣きながら斬る」って展開があるかなという気がしてきている(笑)。もっとも「情けない」展開であるが、ここまでの進行を見ていると実はこのオチが一番説得力があったりする(笑)。

 

広島交響楽団の第九の配信を見る

広島でのイベントのライブ配信

 Twitter情報から広響の第九の公演が配信されているとの話が入ってきたので、早速それを見に行くことにした。公開期間は1週間とのこと。

play.rcc.jp

 なおこれは毎年広響が行っているイベント的なもので、広島サンプラザホールに市民合唱団を加えて1000人以上の合唱団で第九を歌うというもので、広響が演奏をしているようである。ちょうど関西の大阪城ホールで行われる1万人の第九と似た主旨のようである。広島ではこのイベントを30年以上行っているらしい。

 もっとも今年はこの状況で、広島もコロナで警戒警報が出ている最中、さすがに千人以上をホールに押し込んで合唱というわけにも行かなかったので、合唱団を大幅に絞り込んで(40人ほど)、皆さんはライブ配信を聴きながら合唱してくださいということらしい。

 無観客のガランとした一種異様な雰囲気のあるホール内での演奏。正直なところこの環境ではオケもかなりやりにくいだろうということは感じられる。

 

サタケ第九ひろしまオンライン演奏会2020

指揮:下野竜也
広島交響楽団

ベートーヴェン 交響曲第九番

 下野の指揮はややテンポ良くグイグイと前進力の強いもの。やはりイベント的性格が強いことも考えてか、過度に濃い解釈を加えていないような雰囲気がある。

 音楽はテンポ良く進んでいくのであるが、やはりこの特異な環境での演奏はオケとしてもやりにくさはあるだろう。どうも広響のアンサンブルには残念ながら雑さが垣間見られる。特にやや早めに進行する第一楽章なんかでは、演奏が団子になってしまってグチャグチャする場面も多々。広響は元々元気はあるが、それが有り余ってやや雑さのあるオケではあるのだが、その悪しき部分がやや出たような印象を受ける。

 第二楽章、第三楽章と過度には溺れず結構淡々と音楽は進む。オケの演奏自体は第一楽章よりはまとまりが良くなってきている。

 第四楽章であるが、かなり広い上にデッドなホールの特性もあってソリストはやや遠め、またさすがに40人編成の合唱団では拡大編成の広響と音量的バランスが取れない。多分音声さんはかなり必死で頑張っているだろうと推測できるのだが、それでもどうしても合唱が背後に引いてしまってオケにかき消されるのはどうしようもない。また合唱団もこの状態では回りと合わせるのも大変だろう(素人だったら音程さえ取れない可能性が高い)。ソロ歌手の集まりという印象で合唱団としてのまとまりにどうしても欠ける。

 コロナに負けず例年のイベントを何が何でも実行したその意気や良しであるが、やっぱりソーシャルディスタンスを守っての第九の演奏というのはかなり困難であるということも痛感させられたのである。


 そしてコンサートの最後は蛍の光でいかにも年末感満載で閉じられたのである。なんか除夜の鐘が聞こえてくるような気がした(笑)。

 しかしこうして見ていると、やっぱり最早第九は日本の年末行事の一つなんだなということを感じさせられる。その第九がまさかこんな展開で危機に瀕するとは予想もしてなかった。

 

麒麟がくる第37話「信長公と蘭奢待」

馬鹿殿、開始3分であっさりと退場

 信玄の大勝で調子に乗って信長に反旗を翻した馬鹿殿・義昭ですが、武田軍が急に甲斐に戻ってしまった上に、頼みの浅井・朝倉は動かず、結局は一間しかない槙島城(笑)にあっという間に織田軍に攻め込まれ、開始3分であっさりと敗戦してしまいました(笑)。義昭を捕らえて自信満々の藤吉郎が今までにも増してキショさ120%。光秀の「やっぱりこいつ嫌だわ」という感覚がビンビンと伝わってきます。

 そして最後まで将軍に付いていた兄を見限って、実はひっそりと信長側に寝返っていたちゃっかり者の細川藤孝。この作品では武直な男のようにしてましたが、実はどうしてどうして計算高い。しっかりと情勢を見極めて既に馬鹿殿を見限っていた(いつの間に?)。これには兄貴が怒るのも当然。

 それにしてもあの人がなぜここまで変わってしまったのかというのを改めて感じさせる内容になっておりました。義昭自身が立場が変わってしまったことでこうなってしまったということを暗に言ってましたが、まあ権力が人を変える。権力が人を堕落させるというような怖さを一身に表現した人物となっておりました。彼は。

 結局は命は助けられたものの押し込められてしまった馬鹿殿は、それでも懲りずにあちこちに書状を送っております。そしてそういう落ち目になった義昭に対し、さすがに常にその時の一番の権力者に寄り添うことを信条としている小池百合子お駒は早速見切りを付けた模様。多分、あれは別れを告げに来たのでしょう。鞆の浦まで付いていくとは思いにくいので。

 

舞い上がった厨二病信長の回りに漂う微妙な空気

 権力は魔物という展開ですが、その魔物に新たに取り付かれた厨二病患者が信長。信玄が死んだらしいという情報を聞いて、早速朝倉を一気に攻め滅ぼす。で、こちらもあっさりと3分で滅亡。なんてインスタントな。結局は最後は親族衆に裏切られてしまうと言う見事なナマ倉ぶり。それでもまだナレ死させられた斉藤義龍よりはマシか。

 京の周辺を押さえて完全に舞い上がった信長(当時の天下とは近畿一円のことだから、まあこれで天下を手に入れたと言える)は、蘭奢待を所望。要するに今まで足利将軍が蘭奢待をもらったらしいけど、自分は足利将軍に取って代わったんだから、蘭奢待もらっても良いじゃんという厨二的発想。これに対して心の底では「オイオイ」と思いながらも表立っては御追従している光秀。いよいよ悲しき中間管理職の空気が漂い始めた。

 一人で舞い上がっている厨二病患者の回りにかすかに吹き始めた隙間風。信長を適当にコントロールして上手く使ってやろうと思っていた玉三郎も、さすがに勝手に舞い上がっている厨二病には辟易とし始めた模様。信長がうれしそうに献上してきた蘭奢待を「こんなものいらんわ」とさっさと毛利に送ってしまう。これって、今度は毛利を使って信長をやってしまうおうという裏の意図が透けて見える。おっとりと見せて裏でいろいろと画策があるという空気。うーん、さすが玉三郎は一筋縄ではいかない曲者。

 なかなかにここに来て、信長の回りのギクシャクした空気がビンビンと伝わってきて、しかもその空気が光秀を直撃している。光秀は最初に義昭に対して「なぜあの人がこんなになってしまった」と悲しさをもろに出していたが、次は信長に対して「なぜあの人がこんなになってしまったんだ」と泣きながら本能寺の変を起こすのかな。何となく空気が本能寺に直結し始めて来た。で、あの細川藤孝はしゃあしゃあと光秀を裏切る(笑)。そして光秀に勝利するのがあのいかにも嫌らしい秀吉。うーん、見事に後の伏線があちこちに張り巡らされてきた。

 

麒麟がくる第36話「訣別」

馬鹿殿立つ!!

 馬鹿殿がとうとう突っ走っちゃいました。光秀は義昭と手合わせしながら、あの穏やかだった人がなんでこんなに殺伐とした馬鹿殿になったんだという悲しさと苛立ちで、完膚なきまで義昭を叩きのめしてしまいましたが、あのシーンに光秀の心情を表現させている。確かに光秀でなくても「この人、ちょっと変わりすぎたんでは」って気はしますからね。なんでこうなったって感じかな。

 そして光秀も帝に謁見してお言葉を頂き感動、信長と同様に帝に惹かれていることを感じている。うーん、流石に玉三郎は凄い(笑)。まあ実際に御所というところには天皇をありがたく感じさせるための様々な演出があり、それにはまってしまったら天皇に心服させられるように計算はされてますから。実際の光秀もかなり帝重視で動くことになり、それが後に信長と距離が出来る一因にもなるんですが。

 佐久間信盛が柴田勝家と共に光秀の元を訪れた時には、光秀に今後も信長に直言をして欲しいということを言っていたが、あれは佐久間が暴走気味の信長に対して不安を感じ始めていることを匂わせている。恐らく、後に佐久間は信長によって追放されるということへの伏線となっているんだろう。松永が信長についていきかねるということを匂わせていたが、今後信長が暴走することで周囲と軋轢を増していくことの伏線があちこちに張り巡らされている。

 そしてあちこちと信長との仲を取り持とうとしていた光秀の思惑はこれにて完全に破綻ということに。光秀は義昭と涙の別れ・・・ってのが今回の内容ですが、多分現実は「将軍に付いていても力はないから御利益少ないし、やっぱりここは力があって取り立ててくれる信長に付いた方が得」という計算尽くで、義昭と袂を分かって信長に付いたってところでしょうけどね。このドラマの光秀は熙子に「京と美濃のどちらが近いのですか」と言われて迷っていたが、現実の光秀は「いや、もう京には義理はないから」って言ったと思う(笑)。

 

家康はケチョンケチョンにやられたようですが

 まあ三方原で信玄が家康に圧勝って報が伝わってきているから、義昭が舞い上がるのも分からなくもないが。普通は信玄がこの直後に亡くなるなんて考えもしないわな。実際にあそこで信玄が亡くなっていなかったら、信長はどうなっていたかはかなり怪しい。

 ちなみに家康は大敗して馬上でクソちびりながら浜松城に逃げ込むことになったが、武田軍が深追いしなかったこともあって、意外と戦力は減ってないんですよね。少ない兵で鶴翼の陣を敷いたせいで薄くなっていた本陣を、武田軍の魚鱗の陣の分厚さで押されたせいで、本陣は呆気なく壊滅しちゃったんですが、早々に決着が付いて全軍崩壊のせいで、実は主力はほぼ無傷だったりしている。だからこそあれだけ手痛い敗戦にも関わらず、家康はその後にすぐに建て直しできている。同じ惨敗でも主力をほとんど壊滅させた長篠の武田勝頼とは状況が違う。これも信玄が本気で家康を滅ぼす気だったら、追撃で家康軍をほぼ消滅させてから、浜松城を囲んで家康を自刃に追い込んでいるところでしょうけど、信玄にしたら家康なんて京に上る途上の障害物ぐらいの認識だから、邪魔する力がなくなったら「次や、次」って感じなんですよね。これは家康には幸いだった。

 この後は、舞い上がって挙兵しちゃった義昭は、ハシゴを外された形になってしまって信長にケチョンケチョンにやられて京から追い出される羽目になってしまいます。これで事実上馬鹿殿退場です。となると常に権力者のそばに寄り添っていた世渡り上手の小池百合子お駒はそろそろ乗り換えですかね。何しろ光秀を始め、秀吉から家康など蒼々たる面々とコネがありますから(笑)。

 

年間チケットを購入して、ペトレンコとベルリンフィルのショスタの8番を視聴

デジタルコンサート年間視聴券を購入

 ベルリンフィルデジタルコンサートホールからBDとDVD付けるから年間視聴券を18500円で販売するので買ってくれとのDMが届いた。正直なところ特典のBDとDVDにはそれほど魅力を感じないものの、現状で毎月1900円/月(ユーロ相場によって多少上下する)程度を払っている状況を考えると、このまま1年ぐらい視聴するんだったら、今後ユーロが暴落でもしない限り単純に得になりそうな。まあ今のところ「元が全く取れていない」なんて言いつつも、結局はこのままズルズルと多分最低1年は視聴継続するだろうと考えたら、まあこれに乗るのも良しかということで契約した。

www.digitalconcerthall.com

 ところで既に月極契約している者はどうなるんだ? と思っていたら、その場合は自動的に月極契約が1年間停止するということをサイトに「日本語で」キチンと掲載してある。全く至れり尽くせりである。それにしてもベルリンフィル、完璧な日本語サイトまでキチンと用意してあるのは流石だと思う。私のように「外国語に著しく不自由している者」にはたとえ英語サイトがあってもハードルが高いところだが、ここみたいに日本語サイト(それもありがちな変な翻訳語でなくて自然な日本語)があれば、契約したりするのもハードルが極めて低くなる。やっぱりこの辺りはグローバルビジネスしているところは違うもんだと感心する。

 というわけでこれからさらに1年間こことつきあうことにしたところで、元を取るためにまたプログラムを1つ視聴。今回はペトレンコが指揮したショスタコーヴィチ交響曲第8番の無観客ライブ。11月半ば頃の公演だが、前回のバレンボイムの「わが祖国」の時はかなり閑散としてきていても観客を入れていたのだが、無観客ライブになったということは、ドイツのコロナ状況悪化で観客を入れての公演が再び難しくなってきたか。恐らく年間ディスカウント券の発売もそういう状況を反映してのことと推測される。なお販売は1/3までとのこと。

 

ベルリンフィルハーモニー管弦楽団デジタルコンサート(2020.11.13)

指揮:キリル・ペトレンコ

ショスタコーヴィチ 交響曲第8番ハ短調

 ショスタコの8番は私にとって馴染みのある曲とは言い難いが、とりあえず冒頭から第1楽章自体はあの有名な第5番にかなり似ているのが印象に残る。重苦しい低弦に悲鳴を上げるような弦楽セクション、時折咆哮を上げる管楽器というショスタコの非常に聞き慣れたパターンが登場する。

 ペトレンコの指揮は例によって切れ味鋭い。非常に明快で簡潔でもある。ベルリンフィルの技倆も相まってスパッと斬り込んでくるようなエッジの効いた演奏となっている。

 曲調は楽章が進むにつれて混迷していくようなところがある。ショスタコはこの次の交響曲第9番で世間の期待を見事に裏切る軽快で簡潔な作品を持ってくるのだが、そこにつながる片鱗は既に随所に覗えるようになってきている。もっとも曲調自体はかなり重苦しく、最後は息を引き取るかに思えるような終曲でもある。

 切れ味鋭いペトレンコの指揮にかかると、このような混迷した曲でも音楽自体が非常に明快に伝わってくるのは流石である。この作品は表現の点で非常に難解な曲に感じられるが(下手に演奏したらただのグダグダに終始して眠いだけの曲になりそう)、その点はペトレンコとベルリンフィルの組み合わせのレベルの高さに感心させられるところ。もっとも私としては「楽しむ」というところに行くまでには、もう少しこの曲について私自身が慣れる必要がありそうだが。ただし本演奏を聞く限りにおいては決してハードルは高くない。

 

バレンボイム指揮でベルリンフィルの「わが祖国」

 毎月視聴料を払っていながら、実際には払ってるだけになりかかっているベルリンフィルのデジタルコンサートであるが、やはり料金の元ぐらいは取る必要がある。というわけで久しぶりに今年の演奏のアーカイブを視聴する。今回は10月にあったバレンボイムによる「わが祖国」。

 チェコの国歌のような音楽なのだが、バレンボイムにもベルリンフィルにも共にチェコとの接点はない。果たしてどういう演奏が飛び出すか。

 

ベルリンフィルハーモニー管弦楽団デジタルコンサート(2020.10.24)

指揮:ダニエル・バレンボイム

スメタナ 交響詩「わが祖国」

 まあ最初から予想は出来たのであるがあまりチェコ臭さは感じない演奏である。バレンボイムの指揮はどことなく泥臭さを感じさせるものであるのだが、それはいわゆるチェコの土俗の感覚ではなくて、何やらもっと別のものであるように思われる。

 とにかく目立つの急なテンポの変動などの激しさ。そのために特に第一曲のヴィシェフラドなどがかなり通常のイメージと違う。唐突に動くテンポに流石にベルリンフィルはよく追随しているが、それでも所々怪しいところはある。

 ただ何となくどこかヌルさを感じさせる演奏でもある。また細かいテンポ変動も納得のいくものならよいのだが、結構聴かせどころと思える場を高速テンポでサラッと流してしまうと思うと、なんでここと思う箇所でストンとテンポを落としたりと、どうも表現意図とかと無関係にテンポが動くような気がしてならない。この曲は全体的にチェコの舞踏のリズムがあるのであるが、どうもリズムが悪くて踊っていると途中で蹴躓きそうな箇所が多い。

 とにかく「流れが悪い」という印象が表に来る。どうしてもここ一番でつっかえつっかえのような奇妙なリズムが出てくるので、今ひとつ乗り切れない演奏である。その辺りが最後まで違和感として全く解消しなかった。

 

麒麟がくる第35話「義昭、まよいの中で」

将軍は暴走、光秀の立ち位置も破綻寸前

 うーん、義昭が馬鹿殿の上にヒステリー症状まで出て来ていよいよ暴走中。迷いって言うか、自分自身でも言っていたように優柔不断なんだな。一方の光秀は良い人を通しすぎた八方美人が祟ってもろに破綻寸前って雰囲気になってきた。

 積極的に「あんなとんでも組織なんてやっちまえ」と信長に比叡山焼き討ちをけしかけた光秀なのだが、実際に戦になると信長のあまりにもえげつないやり方に光秀の方がトラウマレベルの精神的ダメージ。一方の厨二信長は「だって帝がほめてくれるんだ」と完全に有頂天。とことん碇シンジ路線を突っ走ってます。いよいよ狂気が滲んできてアンコントロールになりつつある。松永久秀も「正直なところついていきかねる」ということを滲ませており、後の謀反の伏線を張っている。

 おっとりと構えているように見えて、実はかなりの曲者という玉三郎の帝は、何やら信長を上手く誘導して利用しようという意図が垣間見える。「褒めて欲しそうだったから、褒めてやった。」とさり気に信長はコントロールしやすいということを匂わせている。どうも何やら企んでいる模様。その帝が今度は光秀と密かに面会するということだから、この作品は最終的には本能寺朝廷黒幕説なんだろうか?

 そしてついには光秀暗殺未遂事件発生。光秀は鉄砲の腕に関しては秀でていたという話はあるのですが、剣の腕の方は定かではない。しかし本作の光秀は若い頃から剣豪レベルで剣を使うんですよね。細川藤孝とは剣と剣でマブダチになったわけだし、松永久秀の危機も大乱闘で救っていたりする。で、今回は久しぶりに剣を振り回していた。

 

一応の危機を脱した光秀だが、将軍は信長と決裂直前

 危機一髪で将軍の下に逃げ込んで、将軍に「かつてはあんなに二人で夢を語り合ったのに・・・」というバターンで口説いて、結局は逆に摂津を排除することに成功する。これでついに化け物退場のようです。しかし時既におそし、義昭はハッキリと「だって信長のことが嫌いだもん。馬が合わないのよ。」と明言してしまって決裂はほぼ確定。

 将軍は光秀のことが信用できないと不審感を持ったようだが、しかし光秀の信長べったりの行動を見てたら仕方ないわな。越前攻めの時でも幕府の面々は静観だったのに、光秀はホイホイと信長に付いていったし、今回の叡山攻めでも実際は光秀がけしかけたみたいなものなんだから。その挙げ句に信長から志賀をもらっているわけだから、こりゃ完全に信長に付いたと見られるのはある種当然ではある。

 次回はいよいよ義昭がヒステリーを起こして打倒信長を決意してしまって、光秀は行きかがり上、義昭と決別せざるを得なくなるんだろうな。だけど信長で本当に大丈夫なのかという不審感も今回の叡山焼き討ちをきっかけに持っている。この辺りが違和感として段々と大きくなって、本能寺の変につながるというストーリー設計なんだろうな。

 それにしてもさすがに下品なおばさんぶりが炸裂していた秀吉のオカンとか、相変わらずどことなく信用できない曲者っぷりが半端ない秀吉本人とか。どことなく光秀と秀吉の相性の悪さのようなものも今のうちから漂わせている。この辺りも最終的には伏線として大きく働くんだろうな。

 

麒麟がくる第33話「比叡山に棲む魔物」(二大魔獣夢の競演)

焼き討ちされて当然という叡山の化け物

 いやー、今回はなかなかすごかった。この作品では「比叡山なんてとんでも組織は焼き討ちされて当然」というスタンスで行くというのは前話で示されていたが、その焼き討ちされるべき悪の頭領として登場したのが天台法主の覚如。小朝が演じるこの覚如が超俗物で妖怪そのもの。帝の弟だが醜かったせいで比叡山に出されたというコンプレックスを抱えており、帝になった美しい兄貴(それがまた坂東玉三郎というのがすごい)を見返すためにひたすら俗世での金と権力を追求したという化け物である。

 しかもこの化け物と、これまたこの作品屈指の化け物である鶴太郎の摂津が密談中。まさに二大魔獣というか、二大妖怪というか、もうこうなると織田信長でなくてウルトラマンか鬼太郎が登場する必要があるのではないかという凄さ。脇でウロチョロしていたナマ倉義景の小者っぷりが際立っていて(交渉にやって来た光秀に対して愚痴まじりの嫌みを言うのが限界)、見事に妖怪の引き立て役になっていた。この妖怪の毒気に当たられて、光秀は「叡山討つべし」の意を固める。

 

相変わらず中二病丸出しの信長を焚きつける光秀

 一方の信長は叡山と膠着している挙げ句に、三好や六角も一向宗と組んで動き出しているので完全包囲状態。しかも尾張では弟が討たれて足下に火がつき始めた。京を捨てて美濃に引き返すと言い始める信長に対して、光秀は「坊主に負けて逃げて帰ってきたと帰蝶様に笑われるでしょうな」とキツい一言。マザコン信長は痛いところを突かれて半ば錯乱気味に「だって帝がほめてくれたんだ」「父さんだってきっとほめてくれる」と例によって完全に中二病丸出しの碇シンジ状態。浅井が裏切った時には「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」と抵抗していたのに、今回は「もう嫌なんだ。」状態。しかし叡山討つべしを決意している光秀は帰蝶を持ち出しながら信長を焚きつけ、結局は帝を通して一旦叡山と講和することに誘導する。完全に信長のコントロール法を心得てしまっている光秀だが、これが最後まで続けばそもそも本能寺の変は起こらない?

 

危ない奴になりつつある光秀

 そしてひたすら馬鹿殿路線驀進中の将軍様は相変わらず右往左往。その挙げ句に宿敵筒井順慶と同席されられた松永久秀がぶち切れて幕府から離反を表明。摂津が幕府を恣にしようとして着々と幕府滅亡への布石を敷いている。ここでぶち切れた光秀も摂津に対して「叡山と一緒に絶対にお前も滅ぼす」宣言。なんかやけに血の気の多い奴になってきた。

 で玉三郎の仲介で何とか叡山とは一旦講和した信長は尾張方面を鎮めてから、いよいよ満を持して叡山焼き討ち。ぶち切れた厨二男は「皆殺し」を宣言。光秀も叡山焼き討ちには異議はないが、さすがに主人公としては老若男女皆殺しはダークすぎるので、密かに「女子どもは逃がせ」との命令を自分の家臣にはしているという偽善者ぶり(笑)。そして叡山で大殺戮が始まったのだが、その内容たるや何やら遊女みたいな連中が出て来たりなど「叡山は焼き討ちされても当然のトンデモ団体なんです」ということを強調する仕掛けは念押しのように施されていた。

 まあ見事でした。鶴太郎のキモすぎる演技と小朝の妖怪っぷりが相まって、まるで化け物映画(笑)。正直なところ、全く出す必要もないのにわざわざ女性の敵岡村を無理矢理に出演させていたという不要シーン以外は完璧でしたね。しかしこの叡山の描き方、苦情は来ないんですかね?